
しまなみ海道の公共レンタサイクル貸出台数が、2025年度に過去最高の17万台を突破したそうです。現地で報道された内容のまとめと、現地在住のサイクリストの視点で見たしまなみ海道レンタサイクルの現状とこれからについて、考えたことを記事にしてみました。
こんにちは。しまなみ海道在住のサイクリスト・カワイユキと申します。今回はしまなみ海道に関するニュースをもとに、ふだん感じていることも含めて記事にしてみました。
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レンタサイクルが過去最高を記録
しまなみ海道の公共レンタサイクルが、2025年度の貸出台数で過去最高を更新したというニュースが、2026年4月に観光系のニュースサイトTravel Voiceや愛媛新聞、読売新聞、南海放送、FNNなどで報道されました。2025年度のしまなみレンタサイクルの貸出台数は17万3279台。サイクリングコースの近くで暮らしながらこの報道を目にし、「やっぱり過去最高の旅行者数だったんだ」と普段感じていた現地の盛り上がりを裏付ける納得感がありました。

このウェブページでは、そのニュースをご紹介しながら、しまなみ海道を日々走っている私が現場で感じていることや、これからのレンタサイクル事情についての考えをお伝えできればと思います。ちょっとした「しまなみ観察日記」のようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

これからのしまなみ海道がどうなっていくのか、という話題も考えていきたいと思います。
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海外からの旅行者が急増
17万台超えという記録的な数字
2025年度のしまなみ海道レンタサイクルの貸出台数が17万3279台を記録し、過去最高となりました。これまでの最高記録が2017年度の14万9740台だったので、じつに2万3000台以上もの上積みです。ちなみに前年の2024年度は13万5732台だったので、2025年度は約28%増。
2025年度の利用「件数」は7万9502件。台数が件数を大きく上回るのは、1件の利用で複数台まとめて借りるケースが多いためでしょうか。団体旅行やカップル、ご家族、修学旅行での利用が多いことも想像できます。修学旅行はコロナ禍から急増しているそうです。
しまなみ海道開通の1999年からのレンタサイクル貸出数のデータはこちらのウェブページにまとめています。
公共のレンタサイクルを運営する「しまなみジャパン」や各種の報道によると、しまなみジャパンではレンタサイクルの予約や各種サービスのデジタル化を進めており、今回の記録更新においてもその取り組みが利便性の向上に貢献したと分析されていました。
大きく増えた海外からの旅行者
今回の実績で特に注目したいのが、やはりインバウンド利用の急増です。全体の利用者に占める海外からの旅行者の割合は約40〜43%とされており、前年から大幅な増加が見られます。エリア別では今治市内が前年度比125.3%、尾道市内が129.1%と、しまなみ海道の両方の玄関口でそれぞれ大きく増加しているのが印象的です。
この数字は、現場で走っていての肌感覚ともよく一致していると思います。以前に比べて、外国からの旅行者を見かける機会が明らかに増えました(平日などは日本の人いる?というような日も)。実際にどの国から、どれくらいの人が、どのようにしまなみ海道を走っているのかという分析はこちらのウェブページにまとめています。
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旅行者の変化と旅のスタイル
欧米豪からの長期滞在サイクリスト
しまなみ海道で最近よく見かけるようになったのが、レンタサイクルでゆっくりとしたサイクリングを楽しむ海外からの旅行者です。サイドバッグをたっぷりつけた自転車でロングツーリングをしている海外のサイクリストの姿も見かけ、より長距離の旅の方もいらっしゃるようです。
別の記事でも紹介していますが、アジア圏では台湾からの来訪者が多いものの、フランス、イギリス、ドイツなどのヨーロッパや、アメリカ、オーストラリアからの来訪者も目立つようになってきています。
現場で話したりSNSやクチコミを読んだりしていると、レンタサイクルを借りるスタイルの海外旅行者の多く(バックパッカースタイルの旅行者)は、数週間から1ヶ月単位という長い滞在期間で日本を旅しているようです。寺社仏閣を巡る観光だけでなく、登山やカヤック、サイクリングといった体を動かすアクティビティも組み合わせながら日本を楽しんでいる方が多い印象があります。
「作られ過ぎない」自由なアドベンチャー
少し前、しまなみ海道のサンライズ糸山でサイクリングを楽しんでいたフランスからの20代のカップルと話す機会がありました。「観光として作られ過ぎたものよりも、自分でアドベンチャーのように楽しめるからサイクリングがいい」という言葉が、とても印象に残っています。
レンタサイクルを借りたら後は自由にエリアを巡ってください、という自転車旅のスタイルは、旅行者が能動的に楽しむことのできるコンテンツとして、特にサイクリング文化が根付いた国々の方々に響くのかもしれません。
観光地でよくあるような「○○体験」のような用意されたプログラムをこなすのではなく、自分で地図を見ながらルートを考えて、知らない集落に迷い込んで、気になったカフェに立ち寄って。そんな旅の自由さこそが、しまなみ海道サイクリングの本質的な魅力なのかなと感じました。
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飛躍的な増加を支えた2つの理由
ウェブ予約と多言語対応の広がり
報道でも触れられていますが、レンタサイクルのデジタル化が利用増加の一因として挙げられています。これは私も大きな変化だと感じています。2022年にしまなみジャパンが愛媛県側・広島県側の全ターミナルを包括的に管理するようになる前、愛媛県側の拠点だったサンライズ糸山では、ウェブ予約のシステムがなく、電話での予約のみという状況でした。
日本語の電話でしか予約できない、というのは、海外からの旅行者にとってかなり高いハードルだったはずです。ウェブ予約が可能になり、英語をはじめとする多言語対応も整ったことで、世界中からの旅行者がはるかに予約しやすくなりました。この変化がインバウンド利用の増加に直結したのは、想像に難くないと思います。
世界へ届く公式情報とリアルな口コミ
もう一つの要因として、海外への情報発信の充実があると思います。以前は、インターネット上でしまなみ海道のサイクリング情報を英語で調べようとしても、公式の情報はほぼ皆無に近い状態でした。今は翻訳技術の向上や言語を越えたAI検索などの精度向上もあって、日本語のウェブサイトでも海外の方が情報を得やすくなっています。
さらに大きいのが、SNSや口コミサイトでの体験談の拡散だと思います。英語やフランス語、中国語の口コミサイトを見てみると、しまなみ海道サイクリングへのポジティブな感想が多く寄せられています。同じような旅のスタイルを持つ人のリアルな声は、初めての場所に踏み出す後押しになります。プロモーションの効果と、旅人から旅人へ伝わる口コミの両輪が、今の状況をつくっているのだと思います。
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これからのしまなみ海道と多様な楽しみ方
国内と海外、休日と平日のバランス
レンタサイクルの利用増加は喜ばしい一方で、いくつか考えておきたいこともあります。日本人の旅行者は休暇のシステム上、ゴールデンウィークや夏休みなど、大型連休や週末に来訪が集中しやすい傾向があります。そうした繁忙期に対応するために自転車の台数を増やすと、平日は台数が余ってしまうという難しさがあることは想像できます。
平日に来訪することが多い海外旅行者との需要のバランスが上手く取れるようになると、より安定した運営につながるのではないかと感じています。また、海外からの旅行者が増えすぎることで、京都などで見られるような「日本人が訪れにくくなる」という状況が生まれないかという心配も、少しだけあります。国内の人口減少が続く中で、日本人の旅行者にとってのしまなみ海道の魅力をどう発信し続けるか、ということも大切な視点だと思います。
「少しだけ走りたい」に応える選択肢
現在の公共レンタサイクルは、1日単位の貸し出し料金が基本です。「来島海峡大橋だけ渡ってみたい」「2時間ほど気軽に走ってみたい」といったライトな利用には、今の料金体系はかなり合いにくいところがあります。1日中借りて他の場所で返却しても、30分だけ、1時間だけ借りても料金が同じなのは、家族連れなどでちょっとだけサイクリング体験してみるというニーズには合っていません。
海外の旅行者に比べると、日本人の休暇は2日間だったり3日間だったり、短い傾向にあると思います。短い日程で、道後温泉も尾道の町も楽しみたいとなると、1時間だけしまなみ海道を走ってみたいというニーズも特に日本人にあると思います。多くの旅行者が今治~尾道の完走を目指しているので、システムを煩雑にしないためにそうしているのだと思いますが、改善の余地もありそうです。
公共のレンタサイクルのシステムでは難しいようであれば、そうしたニーズに応えるものとして、シェアサイクルがありそうです。しまなみ海道ではハローサイクリングのシェアサイクルは少し参入していますが、シェアサイクルの仕組みが充実すると、より幅広い層の方がしまなみ海道をサイクリングで楽しめるようになると思います。
しまなみ海道でレンタサイクルやシェアサイクルを展開、新規参入するには、独自の難しさもあります。片道サイクリングの需要が高いため、自転車を島から島へ運ぶ際の高速道路料金の負担が大きいこと、また島内でのメンテナンスを担える人材や事業者が少ないといった課題もあります。そう簡単にはいかないことも多いですが、多様な楽しみ方に応えられる環境が少しずつ整っていけばいいなと思っています。
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誰もが自分のペースで楽しめる道へ
変化を受け入れながら旅を楽しむ
レンタサイクル貸出台数の記録更新、来訪者の国際化、デジタル化の進展。しまなみ海道を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化しています。それでも、自転車でのんびりと島々を渡りながら、穏やかな瀬戸内海の風景の中を走るという旅の本質は、変わらないと感じています。農村漁村の集落、海沿いの道、橋の上からの眺め。その風景が好きでここを走り続けている理由は、今も昔も同じです。
これからも、初めての方も何度も訪れてくれているリピーターの方も、遠くから来た海外の旅行者の方も、誰もが無理せず自分のペースでこの道を楽しめる場所であり続けてほしいなと思います。
このウェブページでは、しまなみ海道のレンタサイクル貸出台数に関するニュースについて詳しくご紹介しました。初心者でも安心してサイクリングを楽しめるのがしまなみ海道最大の特徴です。しまなみ海道サイクリングの詳しい情報は、以下のページにまとめておりますので、ぜひ参考にしてみてください。




