【尾道大橋は危険?】尾道~向島間で橋の自転車走行が推奨されない理由
しまなみ海道のサイクリングロードのうち、向島~尾道間はちょっと特殊です。尾道大橋は一般道で自転車の通行も制限されていないのですが、渡船の利用が推奨されています。尾道大橋の自転車での通行が非推奨な理由はなんでしょう。実際の歩道や路側帯の様子などの写真も含めてその理由をご紹介します。
こんにちは。しまなみ海道在住のサイクリスト・カワイユキと申します。しまなみ海道は初心者の方でも自分のレベルに合った情報をもとに準備すれば大丈夫!自転車でゆっくり旅する魅力をお伝えします。
初心者ひとり旅でも安全・安心にサイクリングを楽しめるガイドブックを目指して作っているウェブサイトです。私の記事がもしお役に立ちましたらサポートをお願いします。なお、業者様からの掲載依頼はお断りしています。
尾道と向島を行き来する方法
尾道大橋と新尾道大橋
世界的なサイクリングルートとして知られるしまなみ海道のほとんどの橋には、自転車歩行者専用道や原付バイク専用道が設置されています。本州と四国を結ぶ高速道路としての利便性だけでなく、気軽に島を行き来できたり、自転車や原付バイクなどで瀬戸内海の島々を観光できるスポットとしても知られています。
そんなしまなみ海道の中で、尾道と向島を結ぶ「尾道大橋」「新尾道大橋」は例外とされます。
- 尾道大橋の自転車通行が非推奨の理由
- 渡船で向島~尾道を渡る方法
行政が発行している観光パンフレットや有名なガイドブック『しまなみ島走BOOK』などでも、自転車の場合には尾道大橋は通らずに渡船を利用することが推奨されています。実際に、しまなみ海道を訪れるほとんどのサイクリストや旅行者が向島~尾道間の移動には渡船を利用しています。
こちらの写真は、千光寺公園展望台から尾道大橋と新尾道大橋をおさめたものです。ちょっと分かりにくいですが2本の橋が並行するように、向島と尾道の間の海峡、尾道水道を渡しています。まず、1999年に架けられた新尾道大橋(写真手前)は高速道路なので、自動車専用道路になっています。当たり前ですが高速道路なので自転車や歩行者の歩行は禁止されています。
奥側にかかっている橋が1968年に架けられた尾道大橋でちょっと古いタイプの橋になっています。開通当初は有料の橋「尾道大橋有料道路」だったそうで、当時としてはかなり大きな規模の斜張橋だったようです。こちらは現在、通行無料の一般道路(国道317号線)になっています。尾道大橋は一般道路なので、自転車や歩行者の通行が禁止されていません。開通当時も歩行者無料、自転車10円という通行料金が設定されていた記録が残っているので、渡船に代わる足として自転車の通行も想定はされていたようです。
新尾道大橋 | 尾道大橋 | |
---|---|---|
道路の区分 | 高速道路(西瀬戸自動車道) | 一般道(国道317号線) |
開通 | 1999年 | 1968年 |
自転車の通行 | 通行禁止 | 制限はされていない |
制限はされていないものの、実際に通行するとなると…
AD (Googleアドセンス広告)
尾道大橋より渡船の理由
尾道大橋は自転車通行非推奨
しかしながら尾道大橋開通の1968年は、まだしまなみ海道のサイクリングコースの構想などは出ていなかったため、しまなみ海道の他の橋のようにサイクリングロード、自転車歩行者専用道や原付バイク専用道は設置されていません。狭い部分も多く、交通量も多いため、しまなみ海道サイクリングでは尾道大橋ではなく、渡船で渡るように推奨されています。つまり「尾道大橋を自転車で通行することは禁止されてはいないけど、安全のために通らない方がいい」というイメージです。
今治側からしまなみ海道をブルーラインという道しるべに沿ってサイクリングしてくると、尾道駅前行きの渡船乗り場へと自然と誘導されるようになっています。そのため、もしかしたら尾道大橋に入らないように注意をする必要は必ずしもないかもしれません。イレギュラーなルートを通っていたり、渡船の存在を事前に知らなかったりする場合に、尾道大橋に入ってしまう可能性があります。
尾道大橋は車道も歩道も狭い
実際にどれくらい狭いのかというのを見て頂ければと思います。本当に有料道路として自転車でも10円取っていたの?と驚くほど、自転車の通行に関して全く配慮されていない橋です。
尾道側の国道2号線「尾道大橋入り口」の交差点から尾道大橋まで、あるいは向島側の国道317号線「二番潟」交差点から尾道大橋まで、アプローチのために坂道を登るような道路が設置されています。ここが両方とも、歩道もなく路側帯が極端に狭い部分も続きます。上の写真の向島側から右側の歩道は、この区間で最も幅が広い部分です。この部分の左車線には歩道がないことが分かると思います。
実は尾道大橋の橋上には、右側と左側の両サイドに歩道が設置されています。歩いて通過するだけであれば、自動車が近くて怖いですが通行できなくはないなという感じです。橋の上というよりは、橋までの歩道がない区間のほうが怖いです。ちなみに、取材時に歩いて渡っている人は地元の方も含め皆無。道路工事の作業員の方がいらしただけでした。
自転車の通行はかなり困難です。というのもこの尾道大橋は斜張橋のワイヤーがなんと歩道の真ん中から出ています。これが自転車の走行に関してかなり邪魔でストレスになると思います。両サイドともこの状況です。また、尾道大橋入り口~尾道大橋までの区間には、自動車専用道である国道2号線パイパスへの分岐もあり、間違えて自動車専用道に入ってしまうリスクがあります。尾道側が特に複雑なループになっていて、初めてだとかなり分かりにくいです。
遠回りにもなる
また、尾道駅や尾道商店街などがある尾道の中心部から向島へ行こうとした場合、尾道大橋を通ることはかなり遠回りになります。というのも、尾道大橋がかかっているのが尾道市山波町という尾道水道の外れのほうなんです。尾道駅から尾道大橋まで3.5㎞ほどです。
AD (Googleアドセンス広告)
便利で安い渡船を活用しよう
尾道から向島へ渡船で渡る場合には、3つの航路があります。尾道水道のこれら全ての航路が自転車の積載OKですが、便利なのはやはり駅前渡船です。JR尾道駅を出て海側へ進んだ左側にこのような「向島行渡船のりば」がありますので、こちらから向島へ渡るようにしましょう。運賃は自転車も含めて100円程度で、切符はなく、船の上で船員さんが集金しにきます。
尾道~向島間の3つの渡船
一方、向島側から尾道へと渡る場合には、ブルーラインに沿っているのであれば、富浜の渡船乗り場が尾道駅前へと渡しています。どの渡船も時刻表なく、朝早くから晩まで頻繁に行き来していますので、到着後、船が来ていなければ少し待ってみて下さい。尾道大橋を無理やり通行するよりもはるかに安全でストレスもなく、それに船旅の風情や島の生活感も感じられることができて、いい旅になるのでは、と思います。ぜひ渡船を利用するようにしてみてください。
渡船 | 尾道駅前渡船 | 尾道渡船(兼吉の渡し) | 福本渡船 |
---|---|---|---|
港 | 駅前~富浜 | 土堂~兼吉 | 土堂~小歌島 |
特徴 | 今治側からメインルートを走ってくると、ブルーラインによって誘導されるのがこの渡船。 | NHK連続テレビ小説「てっぱん」のロケ地にもなった渡船。駅からは最も離れています。 | 【ご注意】2025年3月末をもって福本渡船は廃止されることが発表されました。 |
これら3つの渡船の乗り場や料金の違い、支払方法の違い、自転車を積載できるかどうかなどの詳しい情報は、こちらのウェブページでレポートしていますので、ぜひ参考になさってください。
全線踏破なら2日間モデルコース
しまなみ海道サイクリングでは、レンタサイクルやサイクリングコースなどがとても便利に設計されているので、自分の自転車を持ってくるような上級者だけでなく、レンタサイクルを借りてサイクリングするような初心者の方も多いという特徴があります。船やバスを活用して、一部分だけをサイクリングすることもできますし、今治~尾道間の全線踏破を目指す方も多いです。全線踏破の場合、最短ルートでも70~80㎞ほどの距離があり、それぞれの橋では数十mの高さまで坂道を登る必要があります。初めてでレンタサイクルを借りて、島での観光も楽しみながら、しまなみ海道全線を踏破するならのんびりと2日間ほどかけて自転車旅行するのがおすすめです。私なりの2日間の定番モデルコースはこちらのウェブページにまとめてみました。
しまなみ海道で一番有名なガイドブック
しまなみ海道サイクリングで最も有名なガイドブックといえばこの『しまなみ島走BOOK』。何度も改訂版が出されていて、しまなみ海道を旅する多くの旅行者がプランニングの参考にしています。最新版をチェックしてぜひ事前にお取り寄せを!
しまなみ海道サイクリング
このページではしまなみ海道の尾道大橋が自転車での通行が推奨されていない理由を解説させていただきました。しまなみ海道サイクリングの詳しい情報は、以下のページにまとめておりますので、ぜひ参考にしてください。