しまなみ海道の風向きや風の強さについて|瀬戸内海の風の通り道を知ってwindyなどの風予報を確認して快適なサイクリングを
しまなみ海道でのサイクリングは基本的には一定方向に進むため、風向きや風の強さによっても難易度が変わります。強い向かい風は坂道を登っている感じで、なかなか思うように前に進めません。体力も奪われていくため、しまなみ海道の初心者サイクリングでは天気予報のチェックと共に、Windyなどのウェブサービスを活用した風予報の確認も必須です。風向きや風の強さによって所要時間も変わってきます。瀬戸内海特有の風の通り道によって、しまなみ海道の風向きは特徴があるため、尾道スタートよりも今治スタートの方がよいと言われることもありますが本当でしょうか。より快適なしまなみ海道サイクリングのために風の情報を集めてみました。
【事業者様へ】本文中に掲載しているお店や商品のセレクトは、私の個人的な体験に基づくリコメンドです。有償・無償に関わらず事業者様からの掲載依頼は一切受付けておりませんのでご了承ください。
しまなみ海道の場所
サイクリングの聖地として世界中から自転車旅行者が訪れるしまなみ海道があるのは、瀬戸内海の西側、広島県尾道市と愛媛県今治市です。いくつもの島が橋で繋がっており、自転車や歩行者でも自由に行き来できるような作りになっています。

乗捨てが比較的自由にできるレンタサイクルや自転車旅行のニーズに対応した宿泊施設なども充実しているしまなみ海道では、サイクリング上級者だけでなく初心者でも踏破に挑戦しやすい環境が整っています。長距離の自転車旅行は初めてという方も多いのは、しまなみ海道サイクリングの特徴の一つだと思います。

瀬戸内海ならではの穏やかな海や、のどかな島々の風景の中を自分のペースでゆっくりと旅ができるのがしまなみ海道サイクリングの大きな魅力です。普通は自転車で渡ることができないような大きな橋も渡ることができるというのも、ここしまなみ海道ならではの体験になるのではと思います。
どちらを出発すべきか
しまなみ海道の一部だけをサイクリングする方ももちろんいらっしゃるのですが、やはり今治~尾道間の全線を自転車で踏破したいという方が多いルートになっています。全線踏破のサイクリングの場合、よく話題になるのが「尾道を出発するのがいいのか、今治を出発するのがいいのか」という問題です。実際にしまなみ海道を訪れた旅行者のブログやSNSを見ると、尾道を出発地点に選ぶ方が多い印象です。

一方、しまなみ海道サイクリングの有名なガイドブック『しまなみ島走BOOK』には、今治を出発した方が追い風の恩恵をうけやすい記述があり、他のウェブサイトでも今治スタートがおすすめという記述をよく目にします。今回このページでは、しまなみ海道の「風」について、向かい風のリスクや傾向を詳しく調べてみました。

せっかくのしまなみ海道サイクリング。ぜひ快適で楽しい旅にしてくださいね!
しまなみ海道の風
瀬戸内海の風の特徴
「瀬戸内しまなみ海道」の名前の通り、瀬戸内海を縦断するような道、地図で見てみると瀬戸内海の西寄りの場所に位置しています。瀬戸内海は、本州の中国山地と四国の四国山地に挟まれた海で、四方を陸で囲まれた地中海のようになっています。気候の分野では「瀬戸内海式気候」などと呼ばれる特徴的な気候の地域なんです。

太平洋や日本海側から吹いてくる風は、山地の壁にブロックされるような形になり、特徴的な風の通り道ができることが多いそうです。中国山地や四国山地を回り込むように、関門海峡や豊後水道、紀伊水道などが風の通り道になり、瀬戸内海では東寄りの風や西寄りの風が吹いています。
中国山地や四国山地に囲まれた瀬戸内海では、西の風や東の風が吹きやすいと言われています。
しまなみ海道の風の特徴
まず、しまなみ海道の起終点、今治と尾道の位置関係を見てみましょう。地図を見ると四国側の今治のほうが、尾道よりも西側に位置していることが分かります。大まかには、西風なら今治出発、東風なら尾道出発が追い風気味となります。
最多風向は東の風
気象庁のウェブサイトで公開されている過去の気象データ(大三島や生口島、今治のアメダス)を見ると、しまなみ海道周辺エリアの年ごとや月ごと、日ごとの詳しい気象を知ることができます。これらの気象データには「風向・風速」の項目があるのでここを参照してみました。

まずは、「風向・風速」の最多風向、つまり最も頻度の多い風向きの項目に注目してみました。季節やアメダスの設置場所などによっても違ってくるのだと思いますが、このエリアの最多風向は、北東、東、北北東など東寄りの風の日が多いようです。例えば、サイクリングの方が多い8月~10月の大三島を見てみると最多風向は「北東」が圧倒的です。

その日の気圧配置などにも寄るのでしょうが、紀伊水道や京都・兵庫方面の比較的低い場所から流れ込んだ風が、東から西に向けて瀬戸内海を通り抜けていく日が多いようです。最多風向だけを考えると、しまなみ海道サイクリングでは尾道を出発して今治を目指す方が、追い風の頻度が多く楽なように思いますね。
最大風向は西の風
一方で、最大風向、つまり最も風が強かった時の風向きに注目してみると、最多風向とは違った傾向があるようです。大三島や生口島、今治のどの地点の月ごとの最大風向をみても「西南西」と、西寄りの風であることが圧倒的に多いんです。強い風は、九州と四国の間の豊後水道を通ってくる風の時に吹きやすいことが分かります。

東寄りの風は、風の通り道の距離も長く、途中に障害物となる島々なども多いので、強い風になりにくいのかもしれません。西寄りの風が吹くときには、太平洋から風の通り道の距離も短く、途中に障害物が少ないので強い風になりやすいのだと思います。

気象データから見てみると風の強い日は、しまなみ海道サイクリングでは今治を出発地点にして尾道を目指したほうが追い風の恩恵を受けやすいと言えます。逆に言うと、こうした日は尾道からスタートすると向かい風気味になり、予想以上に時間と体力を使ってしまうことになるかもしれませんね。
西寄りの風の日は風が強くなりがち。東寄りの風の日が多く、この場合は風は弱く吹くことが多い。
今治スタートがおすすめ
以上をまとめると、しまなみ海道の風には「普段は東寄りの弱い風が吹いていて、時に西寄りの強い風が吹く日がある」という特徴があるようです。サイクリングでより影響を受ける強い風を考えると、今治をスタートして尾道を目指すルートの方が、強い向かい風になるリスクが少ないと言えると思います。

様々な書籍やウェブサイトで「今治スタートがおすすめ」という記述は、こうした気象観測データからも裏付けられるんですね。たしかに、しまなみ海道を何度もサイクリングしている体験からも、向かい風でしんどいなと感じるのは、今治方面へ進んでいる時が多いように思います。

今治で自転車をレンタサイクルを借りる場合、公共のレンタサイクルなら「今治駅前サイクリングターミナル」と「サンライズ糸山」の2か所があります。どちらで借りた自転車も、クロスバイクやシティサイクルであれば、尾道のレンタサイクルターミナルをはじめとしたその他エリアのしまなみレンタサイクルのターミナルで返却することができます。

しまなみ海道で強い風は西から東へと吹きがちと言えそうです。
風向き予報をチェック
天気予報だけじゃなく風も
しまなみ海道サイクリングを計画し、旅行の日程が決まったら、その日が近づくにつれて気になるのがやっぱり「天気予報」ですね。果たして、その日程は晴れるのか、曇りなのか、雨が降る可能性があるのか、必ずチェックするものだと思います。初めての自転車旅行だと確認を忘れがちですが、サイクリングでは天気予報に加えて「風の予報」も確認するのがおすすめです。

宿や交通の関係で直前にスタート地点を変更することは難しいかもしれませんが、風向きや風の強さの予報によって、船などでのショートカットルートのオプションを持っておくことや、ルートを変更したほうがいいこともあります。あまりに強い向かい風予報であれば、所要時間がよりかかることが予想されます。こうした場合は旅程に余裕を持った方がいいでしょう。
風予報に便利な「Windy」
私は、風予報に「Windy」というウェブサイト(スマートフォンのアプリケーション)をよく活用しています。気象予測モデルを使った精度が高い風向き予報を無料でチェックすることできます。もちろん、しまなみ海道周辺の風向きも分かりやすいビジュアルで確認することができます。

しまなみ海道の島々は地形が複雑なため、実際には島を回り込むような風などもあり、シンプルではありません。無料版ではそこまで細かな地形の影響までは反映されていないような気がしますが、全体的な傾向はこのウェブサイトで充分に調べることができると思います。

天気予報と一緒に風の予報もチェックしてみてくださいね!
推しガイドブックをチェック♪
ガイドブック島走BOOKシリーズ 超定番ですがやはり「しまなみ島走BOOK」シリーズは推しです。自転車で世界一周した地元のサイクリングガイド・宇都宮一成さんという方が書かれている自転車旅行者目線の本格的なガイドブックや地図で、たびたび改訂版も出ています。書店にはなかなか出回っていないのですが、Amazon.co.jpで出版元から購入できます。しまなみ海道サイクリングに興味を持ったらまずは最新版を手元に取り寄せておくといいですよ♪

自分で計画するのが好きな人は『しまなみ島走BOOK』、計画が苦手な人には『しまなみ島走PLAN』がおすすめです。
サイクリングマップ
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このページでは、しまなみ海道の風について、風向きや風の強さの傾向や、サイクリングで今治と尾道のどちらを出発地点にした方がいいのかなどを詳しくご紹介しました。初心者から上級者まで幅広い方が自転車旅行を楽しめるしまなみ海道のサイクリング情報は以下のページにまとめておりますので、ぜひ参考にしていただければと思います。