【どこにある?】生口島の海に浮かぶ黄色い円形のモニュメント
しまなみ海道屈指の好景観スポットとして知られる「ベルベデールせとだ」は、生口島の瀬戸田町萩の砂浜の沖に浮かぶ黄色い円形のオブジェです。干潮時には土台の上に登ることもでき、自転車と写真を撮れる絶好のフォトスポットでもあります。少し分かりにくい場所にあるので、詳しい場所や行き方を現地取材をもとにご紹介します。
こんにちは。しまなみ海道在住のサイクリスト・カワイユキと申します。しまなみ海道は初心者の方でも自分のレベルに合った情報をもとに準備すれば大丈夫!自転車でゆっくり旅する魅力をお伝えします。
初心者ひとり旅でも安全・安心にサイクリングを楽しめるガイドブックを目指して作っているウェブサイトです。私の記事がもしお役に立ちましたらサポートをお願いします。なお、業者様からの掲載依頼はお断りしています。
ベルベデールせとだ
しまなみ海道の生口島
今回、ご紹介する「ベルベデールせとだ」があるのは、しまなみ海道の島の一つ、生口島です。しまなみ海道は広島県尾道市と四国の愛媛県今治市を結ぶルートで、いくつもの橋を渡りながら瀬戸内海の島めぐりが人気。高速道路のほかに、自転車でも渡ることができるような設計になっていて、日本を代表するサイクリングコースとしても世界的に注目されています。生口島はしまなみ海道のちょうど真ん中あたりの島で、広島県尾道市に属します。
瀬戸内海でアートというと、直島や小豆島などの岡山県や香川県の島々が有名ですね。2010年から3年ごとに開催されている「瀬戸内国際芸術祭」の会期中は特にアート好きの旅行者で賑わいます。芸術祭の行われる島々は瀬戸大橋の周辺にあり、燧灘を挟んで瀬戸内海の東側に位置しています。一方で、生口島を含むしまなみ海道の島々は、瀬戸内海の西側に位置しており、瀬戸内国際芸術祭のエリアには含まれていません。
瀬戸内アートの島の先駆け
瀬戸内国際芸術祭とは関係なく、今でこそ「自転車」色が強い生口島ですが、実は「アートの島」としての地域振興をいち早く進めた島でもあります。尾道市に合併する20年近くも前、瀬戸田町だった時代に1989年から5回に渡り「瀬戸田ビエンナーレ」という野外彫刻をメインとしたアートプロジェクトを開催していました。当時、瀬戸田町長の和氣成祥さんが地域おこしで立ち上げたイベントです。生口島は、瀬戸内海の島アートの先駆け、元祖とも言える歴史のある島なんです。
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黄色い円形のオブジェ
しまなみ海道屈指の好景観スポットとして有名な「ベルベデールせとだ」は、生口島の南側にある小さな砂浜沖に浮かぶ鉄骨製の2重円形と土台からなるアート作品です。満潮時は完全に海に浮かぶ飛び込み台のような形になりますが、潮が引いた時には作品のところまで歩いて行けるようになり、ステージとして登れるように階段も設置されています。自転車と一緒に登って写真を撮るのがしまなみ海道サイクリングの定番になっています。
島ごと美術館 | ベルべデールせとだ |
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住所 | 尾道市瀬戸田町荻 |
電話番号 | 0845-27-2210(瀬戸田支所しまおこし課) |
営業時間 | 24時間 |
定休日 | なし |
特徴 | 海に浮かぶ川上喜三郎さんの作品 |
島ごと美術館
このベルベデールせとだは、先述の野外彫刻プロジェクト「瀬戸田ビエンナーレ」のうち、瀬戸田町合併40周年事業として開催された1996年の第4回で出展された高さ約9mもある大型の彫刻作品です。5回のビエンナーレで設置された作品は、生口島と高根島(旧瀬戸田町)に点在するように設置され、30年近くが経った現在も手入れをされながら「島ごと美術館」という名称で残されています。
川上喜三郎さん
ベルベデールせとだも「島ごと美術館」の作品群のうちのひとつとして大切に残されている作品で、作者は世界的な建築家で彫刻家の川上喜三郎さん(1945-)です。東京の大手町ビル前「Series of ARC」、丸ビル「Interactive Wave」、神奈川の日産スタジアム「Rising Rose, Rising Iris」、大阪の西梅田「Landscope」など川上さんの作品は日常の中で目にしている方もいらっしゃると思います。川上さんはロンドンを拠点に、多数の都市開発プロジェクトに携われています。
名前と色の意味
名前のベルベデールとは「Belvedere」と書き、イタリア語で「美しい眺め」を意味する単語です。建築としては「眺めの良い場所や展望テラス」という意味でも用いられます。ベネチアの古い家に残るテラスも「Belvedere」と呼ばれ、オーストリア・ウィーンにあるバロック建築の超有名な宮殿「ベルヴェデーレ宮殿」の名称も、このBelvedereに由来します。しまなみ海道関連で言うと、今治市にある日本食研本社工場のモデルにもなった宮殿ですね。
ベルベデールせとだの印象的な「黄色」は、レモンの色をモチーフにしているそうです。生口島は国産レモン栽培発祥の地として知られ、現在も国産のレモン栽培は日本屈指の出荷量を誇ります。島を代表する特産品であるレモンの黄色は、生口島のイメージカラーと言っても過言ではなく、高根島を結ぶ「高根大橋」も黄色、瀬戸田町の観光エリア「しおまち商店街」周辺には黄色いポストも点在しています。
島ごと美術館の作品の中でも、ひときわ大きく、インパクトのある作品です。
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ベルベデールせとだの場所
生口島の瀬戸田町萩
しまなみ海道には、尾道市~今治市間の最短サイクリング推奨ルートである「メインルート」と呼ばれるルートがあり、多くのサイクリストやレンタサイクルの旅行者がこの道を通ります。実は、このベルベデールせとだは、しまなみ海道のメインルートを走っている限り、辿り着くことができません。生口島の南側に設定されたサブルートである「外周コース」を通る必要があります。
しかも、この生口島の南側外周コースのルート上、つまり国道317号線の道路からはこの作品は見えないうえに、大きな看板なども無いため、知らなければ通り過ぎてしまうような隠れビーチにあります。住所としては瀬戸田町萩となり、2013年に瀬戸田小学校に統合される形で廃校となった「旧尾道市立南小学校」のすぐ横という立地です。
目印は「萩バス停」
南小学校があったことを示す看板もルート上にはほぼ無く、校舎も道路沿いにはないので、目印となるのは本四バスの「萩バス停」だと思います。本四バス開発株式会社の運行する路線バス「生口島一周線」は、東回りも西回りもこの萩バス停には停車しますので、路線バスで瀬戸田港や耕三寺からアクセスすることもできます。瀬戸田港から西回りのバスに乗ると15分ほどで着きます。
ベルベデールせとだがある砂浜は、この萩バス停の海側です。東回りのバスが停まる屋根付きバス停のすぐ横の細い道を入っていくことになります。上の写真で南国チックな木がある方向に進みます。
一応、手作りと思われる「すぐソコ、ベルベデールせとだ」という看板と、ベルベデール瀬戸田の写真が入口に貼り付けてありました。これ以外に公式な看板などはないので、唯一の看板的なものになると思います。有名になってきたフォトスポットなので、何か分かりやすい看板があれば便利とは思いますが、「探さなくては行けない」という体験自体は特別感があって、ある意味では「良さ」なのかもしれません。
ここが、旧南小学校の校門跡地です。そのまま真っすぐ進むと旧南小学校の校舎とグラウンドに出ます。尾道市役所に問い合わせたところ、自動車でドライブの方は、短時間であれば旧南小学校の敷地内に駐車しても現時点では構わないということでした。ベルベデールせとだ専用の駐車場などはありません。
旧南小学校の校舎やグラウンドは、廃校から10年以上が経った今も綺麗に手入れをされて残されてはいます(講堂は解体されて更地になっています)。これまでにも何度も廃校活用が検討されていますが、恒常的に何かに使われているわけではなさそうです。イルミネーションや観月会といった地域のイベントなどでは活用される場面があるようです。
旧南小学校の校門を入って左側の防波フェンスから、ベルべデールせとだのある砂浜へとアクセスすることができます。幅で90mくらいの小さなビーチですが、細かな白い砂浜でとても美しい景観の場所です。生口島の南側の海岸には、意外と砂浜が少ないので、貴重な海水浴スポットになっていて、夏場は地元の子どもたちが海遊びを楽しんでいます。
波の音も静かで、写真を撮るだけでなく、のんびりと過ごすのにとてもいい場所でとても気に入っています。ベルべデールせとだのオブジェは海水を浴びていることもあり、経年劣化でサビが進行していましたが、最近訪れる方がおおくなったこともあり2022年3月に塗装が直されて綺麗になっています。
より写真に映えるようになったベルべデールせとだにぜひ行ってみてください。
しまなみ海道の観光スポット
ベルべデールせとだ以外にもしまなみ海道には素敵なスポットがたくさんあります。サイクリングやドライブ、ツーリングでぜひ寄っていただきたい春夏秋冬楽しめる観光スポットや絶景スポット、カフェや雑貨屋さんなどのお店などの立寄りスポット情報や口コミ・評判を島ごとにまとめてみました。
このウェブページでは、しまなみ海道・生口島のフォトスポット「ベルべデールせとだ」について詳しくご紹介しました。私のこのウェブサイト「しまなみ自転車ツーリングTips」では主に、初心者でも楽しめるサイクリングの聖地、しまなみ海道の情報をまとめています。素晴らしいサイクリングロードと瀬戸内海の風景が待っていますよ!