【記事の詳細】CNNの世界7大自転車ルートにしまなみ海道が選出(2014)

2014年、CNNの「世界の自転車ルート7選」に選ばれたしまなみ海道。数千キロの過酷なルートが並ぶ中、なぜこの道が選出されたのか。著者のピーター・ウォーカーさんが評価したしまなみ海道ののんびり走る価値を、現地在住の視点から改めて読み解いてみます。
2014年発表のCNNの記事
今では多くの海外からの旅行者で賑わうしまなみ海道ですが、その大きなきっかけの一つと言われているのが、2014年にCNNで公開された「7 best bike routes in the world」つまり、世界で最も素晴らしい自転車ルート7選という記事です。

著者であるイギリス人ジャーナリストのピーター・ウォーカー(Peter Walker)さんによって、世界のベストルートの一つとして紹介されたことは、国内外のメディアがしまなみ海道に注目する大きな転換点となりました。その後の海外旅行者の急増にも、この記事の影響は計り知れないものがあったと感じています。
CNN(Cable News Network):アメリカの24時間ニュース専門ケーブルテレビ局。今回の記事が発表されたCNN Travelは、CNNが運営する世界的な旅行情報サイト・メディアです。
今回は、この記事の中でしまなみ海道がどのように語られているのか。そして、他に選ばれた6つのルートは一体どんな道なのか。当時の記事の視点に注目しながら、改めてこの道の魅力を一緒に探っていければと思います。
しまなみ海道以外の6ルート
| ルート名 | 国・地域 | 特徴 |
|---|---|---|
| フレンドリーシップ・ハイウェイ | 中国(チベット〜ネパール) | 標高5,000m超えの峠を越える、世界で最も高い場所にあるルート。 |
| ラ・ルータ・デ・ロス・コンキスタドーレス | コスタリカ | ジャングルや泥道、火山を抜ける過酷なオフロード。1日で3,000mも登ることも。 |
| 北海サイクルルート(NSCR) | ヨーロッパ | 8カ国、約6,000kmに及ぶ世界最長の標識付きルート。 |
| グレートディバイド | 北米 | カナダからニューメキシコまで4,400km。グリズリーやライオンに遭遇する可能性も。 |
| ムンダ・ビディ・トレイル | オーストラリア | 西オーストラリアの森林地帯を抜ける1,000km近いオフロード。 |
| サウス・ダウンズ・ウェイ | イギリス | 160kmと短めですが、イギリスらしい起伏が続き、累計獲得標高は4,300mに達します。 |

どのルートもかなりハードな上級者向けルートを中心に選出されています。
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記事内でのしまなみ海道の扱われ方
子供連れでもOKな観光コース
7選の他のルートが、数千キロにおよぶ冒険や過酷な上級者サイクリスト向けであるのに対し、しまなみ海道は「子供連れでも全行程を走り切ることを無理なく検討できる、7選の中で唯一のルート」として紹介されています。車社会のイメージが強い日本において、ここでは自転車と車が幸せに共存していると、その安全性が高く評価されています。

特に橋へと続くスロープについても言及。自転車のために作られた、長く緩やかな設計が「足に優しい(leg-friendly)」と表現されています。また、多くの人が1日で走り抜けるのではなく、瀬戸内海の美しい多島美を眺めるために、あえて「のんびりと(dawdle)」時間をかけて進んでいる様子も描かれています。
ピーターさんは、しまなみ海道を「歯を食いしばって漕ぐ場所ではなく、穏やかに巡るための道」と定義しました。この記事の時点で競技やアドベンチャー志向ではない観光サイクリングコースとして扱われているのは、その後の海外メディアでの取り上げられ方の指針になったのではと感じます。
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他のルートは過酷でドラマチック
全体としてハード系のラインナップ
しまなみ海道が唯一、家族で楽しめる道と称された一方で、同じリストに並んだ他のルートはとにかく過酷でドラマチックです。ロングツーリングやアドベンチャーサイクリスト向けのコースが多く、そこには、日本ではなかなか想像がつかないような、厳しくも壮大な世界が広がっています。

例えば、中国のチベットからネパールへと続く「フレンドリーシップ・ハイウェイ」。世界で最も高い場所を走るルートの一つで、標高5,000mを超える峠を越えなければなりません。原文では肺が焼けるような(lung-searing)と形容されるほど、身体の限界を試される道です。

また、北米の大陸分水嶺を走る「グレート・ディバイド」は、全長約4,400kmという気の遠くなるような距離。人里離れた荒野を走り続けるため、グリズリーやマウンテンライオンとの遭遇に備え、熊よけスプレーを携行するような冒険そのもののルートです。
コスタリカを横断する「ラ・ルータ・デ・ロス・コンキスタドーレス」にいたっては、ジャングルや泥道、活火山を抜け、わずか3日間で累計獲得標高が8,000mに達することもあるといいます。
こうした歯を食いしばって(grinding)進むことが前提のリストの中で、しまなみ海道が選ばれたこと。それは過酷な挑戦だけが自転車の魅力ではなく、もっとライトな楽しみ方の提案として記事に幅をもたせたかった感じなのかなと思います。
しまなみ海道の特別感
標高5,000mの峠を越える過酷な挑戦もあれば、瀬戸内の風を感じてのんびりと進む自転車の楽しみ方もある。特に印象的だったのは、イギリスのルート紹介にあった「猛烈にペダルを漕ぐことは、素晴らしい景色を楽しむという目的を見失わせる」という一節です。つい「完走しなきゃ」「速く走らなきゃ」と力んでしまいがちですもんね。

すでにサイクリングの文化が根付いていたり成熟していたりする国々でのサイクリングコースは、広域のコース設定や独立した自転車専用レーンといったハード面での整備が進んでいる印象です。一方で、エンタメの国、日本ならではのことかもしれませんが、しまなみ海道のような日本の観光サイクリングコースではソフトの面の充実度が他国と違うのかもしれません。

サイクリングの文化がそこまで根付ききっていないからこその、上級者だけでないビギナーや一般旅行者へのアプローチとなっている面もあると思います。細やかなおもてなしや、行き届いたサポートの体制、ユーザビリティの高さなどは、日本を代表するサイクリングルートであるしまなみ海道ならではの特別感を、海外のサイクリスト目線でも魅力として感じるのかもしれませんね。
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筆者のピーターさんについて
CNNの記事「7 best bike routes in the world」の著者、ピーターさんは、イギリスの有力紙『ガーディアン』の政治記者であり、サイクリングに関する深い造詣を持つジャーナリストとして知られている方なんだそうです。
2009年にガーディアン紙で「Bike Blog」を立ち上げ、サイクリングを単なるスポーツではなく、社会や環境、都市生活を豊かにする手段として発信。著書に『How Cycling Can Save the World(自転車はいかに世界を救うか)』や『Bike Nation』などがあり、自転車が健康や都市のあり方にどう貢献するかを論じています。
政治記者としてイラクや北朝鮮など、世界各地での取材を経験。かつてはロンドンやシドニーでメッセンジャーとして働いていた経験もあり、日常的に自転車を愛用。競技的な視点よりも、自転車が人々の生活や景色とどう関わっているかを重視する書き手のようです。
しまなみ海道の国際化
CNNの記事があった2014年から2019年にかけてしまなみ海道では急激に国際化が進みました。実際に現地を走っていると、国際的なサイクリストの姿を本当によく見かけます。レンタサイクルのターミナルや橋の上、島のカフェや宿泊施設など、さまざまな場所でいろんな国の言葉が飛び交うインターナショナルな光景が、すっかり日常になっています。

「最近は外国人が増えた」「欧米の人が多いね」といった感覚的な話はよく耳にしますが、「どの国から、どれくらいの人が、どのようにしまなみ海道を走っているのか」については、意外と語られることが少ないように感じます。こちらのウェブページでは、自転車通行台数や公共レンタサイクルの国別利用データから、しまなみ海道を訪れる外国人旅行者の増加とその背景を考察しています。
このページではCNNによる記事「世界で最も素晴らしい自転車ルート7選」について紹介しました。私のこのウェブサイト「しまなみ自転車ツーリングTips」では主に、初心者でも楽しめるサイクリングの聖地、しまなみ海道の情報をまとめています。素敵なヘルメットを手に入れたら、ぜひしまなみ海道サイクリングにお越しください。素晴らしいサイクリングロードと瀬戸内海の風景が待っていますよ!










