【尾道~向島の渡船】しまなみ海道の尾道水道を渡るフェリー航路

2024年11月16日

【タイトル】しまなみ海道:尾道~向島の3つの渡船徹底レポート

尾道の本州陸地部と向島の間にある尾道水道には3つのフェリー(渡船)の航路があります。しまなみ海道サイクリングでは尾道大橋は狭いため推奨されておらず、ほとんどの旅行者がこれらの渡船を利用しています。尾道駅前渡船、福本渡船、兼吉渡しの3つの航路の乗り場や料金、時刻表といった詳細。自動車やオートバイ、自転車の積載ができるかどうかなどをご紹介します。

重要(福本渡船の廃止について)

尾道~向島の3つの渡船のうちのひとつ、「福本渡船」が2025年3月末をもって廃止されることが発表されました。以降は、尾道駅前渡船と兼吉渡しの2航路となります。最新の情報にご注意ください。詳しくはこちら

ライター:カワイユキ

こんにちは。しまなみ海道在住のサイクリスト・カワイユキと申します。しまなみ海道は初心者の方でも自分のレベルに合った情報をもとに準備すれば大丈夫!自転車でゆっくり旅する魅力をお伝えします。

初心者ひとり旅でも安全・安心にサイクリングを楽しめるガイドブックを目指して作っているウェブサイトです。私の記事がもしお役に立ちましたらサポートをお願いします。なお、業者様からの掲載依頼はお断りしています。

しまなみ海道の起終点

「おもひでは汐みちてくるふるさとのわたし場」種田山頭火の句集より
種田山頭火の句集より

「おもひでは汐みちてくるふるさとのわたし場」

瀬戸内に生まれた放浪の俳人、種田山頭火の句は、渡船がぽくぽくと行き来する尾道のどこか懐かしい風景にどこか重なります。

尾道~向島の尾道水道

しまなみ海道は本州側の広島県尾道市と四国の愛媛県今治市を結ぶ道路の名称です。芸予諸島の島々を巡りながら瀬戸内海を渡るような観光ルートになっていて、高速道路だけでなく、自転車や原付バイク、徒歩でも通行できるという特徴があります。特に自転車はレンタサイクルや休憩ポイント、ブルーラインの道しるべなどが特別に整備されており、サイクリングの上級者だけでなく初めて自転車で旅行をするといった初心者の方もレジャーサイクリングを楽しんでいます。

【写真】尾道~向島の渡船:しまなみ海道の向島をサイクリング
しまなみ海道の向島をサイクリング

ナショナルサイクルルートにも指定されているしまなみ海道には世界中から旅行者が訪れ、日本を代表するサイクリングスポットとして知られています。そんなしまなみ海道の中で今回ご紹介するのは、本州側の広島県尾道市エリアの情報です。橋に自転車専用道(サイクリングロード)が設置されているしまなみ海道で、”例外”的な渡船の話です。

【写真】尾道~向島の渡船:尾道市街と向島の間の細い海峡、尾道水道
尾道市街と向島の間の細い海峡、尾道水道

しまなみ海道サイクリングでは尾道駅のある旧尾道市内が本州側のスタートorゴール地点となっています。尾道からはひとつめの島、向島へと渡ります。尾道と向島の間には尾道水道という狭い海峡があり、ここには「新尾道大橋」「尾道大橋」という橋が架かっています。尾道大橋は一般道扱いではあるものの、自転車道が設置されておらず、路肩も狭いためサイクリングでの通行が推奨されていません。

渡船で渡ることが推奨

【イラスト】尾道~向島間の3つの渡船ルート

そこで、しまなみ海道サイクリングでは尾道大橋ではなく、渡船を利用して尾道水道を渡ることが推奨されています。この”例外”的な「橋ではなく渡船を利用する」という情報は事前に知っておかないと、尾道大橋を探したり、実在しない尾道大橋の自転車専用道入口なるものを探して彷徨うことになるかもしれません。

【写真】尾道~向島の渡船:サイクリングコース上のフェリー利用案内
サイクリングコース上のフェリー利用案内

駅前の案内やパンフレット、しまなみ海道サイクリング推奨ルートを示すブルーラインの路面標示も、渡船を使うように記載や表示がされていて、乗り場へと案内されています。自転車や徒歩で、しまなみ海道を渡る場合には渡船を使うようにしましょう。先述の通り、尾道大橋は路肩が狭く歩道にも大きな障害物があり、通行が危険ですしストレスフルです。

【写真】尾道~向島の渡船:尾道大橋の歩道と路肩の状況
尾道大橋の歩道と路肩の状況

一方で自動車やオートバイ、原付バイクは尾道大橋を渡ることができます。高速道路を走行できる車両であればしまなみ海道の西瀬戸自動車道で新尾道大橋を渡ることもできます。どちらの場合も尾道駅前付近からだと遠回りになるため、地元の人も渡船を使うことがあります。

このページのトピック
  • 自転車は尾道大橋を渡らず渡船で向島へ
  • 尾道~向島渡船の料金や車両積載の違い
  • それぞれの渡船の乗り場の場所や乗り方

いくつかの航路には自動車やオートバイも積載することができるフェリーによって運航されています。

それでは、尾道と向島を結ぶ3つの渡船の違いをご紹介しようと思います!

AD (Googleアドセンス広告)

3つの渡船の違い

尾道~向島間の航路

【写真】尾道~向島の渡船:尾道水道はフェリーで渡るのが便利
尾道水道はフェリーで渡るのが便利

先述の通り、尾道市街地と向島の間には3つの渡船の航路があります。最盛期は9の航路があったそうですが、橋が架かったこともあり現在は3つ。航路が減ったとは言え、依然と地元に住んでいる方の重要な移動手段となっていて、旅行者だけでなくローカルの方々の利用がとても多いです。通学の時間帯には大勢の学生の利用もあります。

尾道市街地の西側から、尾道駅前渡船福本渡船兼吉の渡しの乗り場が少しずつ離れた立地にあります。尾道駅前渡船と福本渡船は尾道水道でクロスするような航路になっていて、それぞれ向島の少しづつ違う立地の乗り場へと渡ることができます。どの航路も3~5分程度の短い船旅です。

渡船尾道駅前渡船尾道渡船(兼吉の渡し)福本渡船
駅前~富浜土堂~兼吉土堂~小歌島
特徴今治側からメインルートを走ってくると、ブルーラインによって誘導されるのがこの渡船。NHK連続テレビ小説「てっぱん」のロケ地にもなった渡船。駅からは最も離れています。【ご注意】2025年3月末をもって福本渡船は廃止されることが発表されました。

積載できる車両の違い

【写真】尾道~向島の渡船:

尾道~向島の間を渡している3つのフェリー航路はどれも自転車の積載が可能となっているので、しまなみ海道サイクリングでの利用ができます。125㏄未満の原付バイクはどの渡船も利用OK。125㏄以上のオートバイや自動車を積載できるのは「兼吉の渡し」と「福本渡船」の2航路です。自動車は車長によって運賃が少しずつ違います。

乗船の可否尾道駅前渡船兼吉渡し福本渡船
歩行者
自転車
オートバイ・原付125cc未満のみ
自動車×

料金の違いと支払方法

尾道~向島の間を渡している渡船の運賃はどの航路も非常に低料金です。最も安いのは「福本渡船」で、この渡船は向島側の乗り場にある料金所で現金で支払います。「尾道駅前渡船」と「兼吉渡し」は、船に乗船している時に、乗組員の方が巡回してくるので、その時に現金で支払います。事前に切符やチケットを購入する必要はありません。以下は、取材時の料金です。

歩行者・二輪車尾道駅前渡船兼吉渡し福本渡船
歩行者(大人)100円100円60円
自転車+10円+10円+10円
オートバイ・原付+10円+10円+20円
小銭を用意しておきましょう!

ローカルな渡船です。電子マネーやクレジットカードなどは利用できず、キャッシュオンリーなので事前に小銭を用意しておきましょう。切符やチケットはありません。

しまなみ海道サイクリングでの料金

先述の通り、しまなみ海道サイクリングではどの航路でも自転車を分解することなくそのまま「歩行者+自転車」として乗ることができます。尾道駅からのアクセスがいい「尾道駅前渡船」を利用するサイクリストが多く、1名自転車1台なら110円となります。「兼吉渡し」も同じく110円です。向島の外周コースをサイクリングしたい場合や、後藤鉱泉所や住田製パン所などの人気スポットへは兼吉渡しが便利です。「福本渡船」が最安値で70円です。

【写真】尾道~向島の渡船:向島の外周コースは海沿いの好景観ルート
向島の外周コースは海沿いの好景観ルート

しまなみ海道サイクリングのメインルート(サイクリング推奨の最短ルート)は向島の東側を通っています。向島にはサブルートとして外周コースも設定されていて、東側を回り込むようなルートになっています。向島の外周コースは瀬戸内海らしい景色を楽しめる好景観なルートでおすすめです。

自動車積載時の料金

「兼吉渡し」と「福本渡船」には、車の車両運賃が車長による区分で設定されています。どちらの運賃も、運転手1名分の運賃が含まれています。運転手以外に同乗している方がいる場合は、その人数分の歩行者運賃を追加で支払う仕組みです。例えば兼吉渡しで運転手を含む大人3名で4m未満の普通車の場合、120円+100円×2で320円となります。

車両尾道駅前渡船尾道渡船(兼吉渡し)福本渡船
3m未満×110円80円
3m以上~4m未満×120円90円
4m以上~5m未満×130円100円
5m以上~6m未満×160円120円
6m以上~7m未満×260円220円
7m以上~8m未満×380円320円

渡船の時刻表

【写真】尾道~向島の渡船:細かな時刻表はなく頻繁に行き来している
細かな時刻表はなく頻繁に行き来している

尾道~向島間の渡船には、鉄道のような正確な時刻表が設定されているわけではなく、運行開始時間と最終便の時刻が設定されていて、その時間内で頻繁に行き来しています。例えば、尾道駅前渡船は朝6時に向島の富浜乗り場を出港し、約8~12分間隔で22:10まで尾道駅前乗り場との間を行ったり来たりしているという具合です。2022年9月からは福本渡船が日曜運休となっています。

渡船尾道駅前渡船尾道渡船(兼吉渡し)福本渡船
運航開始6:006:006:30
最終運航22:1022:0021:10
運休日曜日

一般的なしまなみ海道サイクリングでは、朝早くから夜まで運航しているこれらの渡船の時刻表を気にする必要はないと思います。乗り場に到着したら、渡船がやってくるまで少し待ってみてください。

駅からのアクセスなら駅前渡船、向島の東側へのアクセスには兼吉渡し、節約するなら福本渡船ですね!

必携のガイドブック

【書影】しまなみ海道サイクリングのガイドブック「しまなみ島走BOOK」など

個人的に、しまなみ海道サイクリングの計画段階で取り寄せた方がいいと思うのが「しまなみ島走BOOK」「しまなみ島走MAP」のシリーズです。地元のサイクリングガイドが作成している本格的なガイドブックや地図で、書店にはなかなか出回っていないのですが、Amazon.co.jpで出版元から購入できます。

特に「しまなみ島走MAP」は島ごとのかなり大きな紙の地図なので、テーブルの上などに大きく広げてグループで計画するときなどとても重宝します。いくつか改訂版が出ていて情報の更新がされているので、最新版を取り寄せておきましょう。

3つの航路をレポート

続いて、尾道~向島の間を頻繁に行き来している3つの渡船航路のそれぞれの乗り場や乗り場へのアクセス、実際の船の様子などを詳しくレポートしていきたいと思います。

尾道駅前渡船

【写真】尾道駅前渡船:駅前渡船のお寺風デザインの舟「むかいしまⅡ」
駅前渡船のお寺風デザインの舟「むかいしまⅡ」
【イラスト】しまなみ海道サイクリングで利用する尾道駅前渡船の航路ルート・航路図

JR山陽本線の尾道駅から歩いて2~3分という好立地に乗り場がある「尾道駅前渡船」は、しまなみ海道サイクリングの旅行者を含む観光客の利用がとても多い航路です。向島側は富浜地区の小さな川(水路)を通ります。富浜の渡船乗り場近くには、尾道市立向島中学校、尾道中学校・高等学校があるため通学の時間帯は学生の利用がとても多いです。

尾道~向島尾道駅前渡船
運航おのみち渡し船株式会社
住所尾道市土堂2-10-3
電話番号0848-38-7761

しまなみ海道サイクリングで公共のレンタサイクルを利用する場合も、尾道港レンタサイクルターミナルから駅前渡船は最も利用しやすい立地です。しまなみ海道で利用できるレンタサイクルには、公共のレンタルサービスと自転車店などによる民間のサービスがあります。乗捨てのしやすさという観点では沿線に10ヶ所程度のレンタサイクルターミナルがある公共のレンタサイクルがおすすめです。

尾道側の乗り場(尾道駅前)

【写真】尾道駅前渡船:尾道観光やサイクリングの玄関口、尾道駅
尾道観光やサイクリングの玄関口、尾道駅

東京や大阪方面から新幹線でしまなみ海道へアクセスする場合には、JR福山駅まで新幹線で来て山陽本線の普通列車に乗り換えて尾道駅を目指すことが一般的と思います。新幹線の停まる新尾道駅は4kmほど離れた立地のため、尾道観光やしまなみ海道サイクリングの玄関口となっているのはこちらの尾道駅です。尾道駅の駅舎は2019年にリニューアルされて2階建ての複合施設になっています。

【写真】尾道駅前渡船:尾道駅の南口を出たところの風景
尾道駅の南口を出たところの風景

尾道駅の南口を出るとこの景色。尾道駅前渡船の乗り場や尾道港レンタサイクルターミナル、尾道商店街などへのアクセスにはこちらに出てください。しまなみ海道サイクリングで利用されることが多い公共のレンタサイクルは、尾道駅から400mほど離れたところにある尾道港レンタサイクルターミナルで借りたり返したりすることができます。

【写真】尾道駅前渡船:尾道側の渡船乗り場は尾道駅すぐそば
尾道側の渡船乗り場は尾道駅すぐそば

尾道駅から尾道駅前渡船の乗り場までは200mほどの距離です。尾道駅前のロータリーで信号機のある横断歩道を渡ると駅前の広場にでます。この尾道駅前広場の右側方向に「向島行渡船のりば」とかかれた看板が目印の港があります。しまなみ海道サイクリングの地図付きの大きなパネルも設置されているので全体のコースを改めて確認することもできますね。

向島側の乗り場(富浜)

【写真】尾道駅前渡船:尾道駅前渡船の向島側の富浜乗り場
尾道駅前渡船の向島側の富浜乗り場

一方でこちらは、向島側の駅前渡船乗り場の様子です。駐輪スペースには地元の方や学生の大量の自転車がならんでいます。しまなみ海道サイクリングを愛媛県今治市側からスタートするとここがゴールとなる方が多いと思います。しまなみ海道サイクリングのメインルートをブルーラインと看板通りに来ると、この富浜の渡船乗り場に辿り着くことになります。

【写真】尾道駅前渡船:渡船乗り場にはタクシーも待機していることが多い
渡船乗り場にはタクシーも待機していることが多い

大抵、数台のタクシーも待機しています。尾道観光に加えて、向島の高見山展望台や岩子島などの観光、タクシーによるしまなみ海道方面の観光などに利用することができます。

タクシービサンタクシー太平交通
住所尾道市山波町3101-9尾道市向島町232-27
電話番号0848-37-28000848-44-1600
【写真】尾道駅前渡船:水路へと飛び出た富浜乗り場の桟橋
水路へと飛び出た富浜乗り場の桟橋

向島富浜の駅前渡船乗り場を逆側から見るとこのような感じです。水路に桟橋が飛び出しているような形になっていて、ここに正面から船が着きます。

【写真】尾道駅前渡船:チケットは買わずにそのまま船上で支払い
チケットは買わずにそのまま船上で支払い

富浜の駅前渡船乗り場には、このような料金所のような施設がありますが、ここは定期券のみ販売している場所になっています。旅行でこの渡船に乗る場合にはここで切符を買う必要はありません。「運賃は船内でお支払いください」と貼り紙がある通り、船に乗って移動している最中に運賃は乗組員さんによって徴収されます。

【写真】尾道駅前渡船:7.5分~12分の間隔で船は行ったり来たり
7.5分~12分の間隔で船は行ったり来たり

尾道駅前渡船の運行表も掲示されていますが、非常にシンプルなものです。先述の通り、細かな時刻表はなく、始便~終便の時間の間に頻繁に駅前~富浜間を行き来しいています。平日の通学時間帯はよりハイペースで運航していることが分かります。

【写真】尾道駅前渡船:駐輪場はパンパンで学生の利用も多い
駐輪場はパンパンで学生の利用も多い

しまなみ海道サイクリングのスタートならば、わくわくするような短い船旅が自転車旅行を彩ります。尾道ゴールならば旅の締めとなり、船を待っている時間や船から見える尾道の風景を眺めながらの乗船の間は、これまでのしまなみ海道の道程を振り返る穏やかな時間となるでしょう。

AD (Googleアドセンス広告)

兼吉渡し

【写真】兼吉渡し:尾道渡船のフェリー「にゅう しまなみ」
尾道渡船のフェリー「にゅう しまなみ」
【イラスト】尾道~向島間の兼吉渡しフェリーの航路・航路図

続いて、尾道水道の最も東側に位置する「兼吉の渡し」をレポートします。現在は第3セクター、おのみち渡し船株式会社により運航されている渡船で、シンプルに「尾道渡船」や元々は公共の渡船だったため「公営渡船」と呼ばれることもあります。2010~2011年にNHKで放送された尾道が舞台の連続テレビ小説『てっぱん』、1995年公開の大林宣彦監督の映画『あした』などのロケにも使われた航路です。

尾道~向島尾道渡船(兼吉渡し)
運航おのみち渡し船株式会社
住所尾道市土堂2-10-3
電話番号0848-38-7761

尾道側の乗り場(土堂)

【写真】兼吉渡し:尾道渡船の尾道側の乗り場はシンプル
尾道渡船の尾道側の乗り場はシンプル

兼吉渡しの尾道側の渡船乗り場はこのような様子で、とてもシンプルな桟橋になっています。尾道駅からは900mほど離れた立地なので、駅前渡船や福本渡船よりは駅から最も遠い場所にあります。尾道の商店街などを散策してから向島へ渡る場合、向島の外周コースをサイクリングしたい場合、今治行きの高速バスに乗れる「向東BS」へ行きたい場合などは、兼吉渡しが便利です。

向東BS

現在、尾道~今治間を直接結ぶバス路線がないため、路線バスと高速バスを因島大橋BSで乗り継ぐ方法が一般的です。時間帯によっては乗継に時間がかかることもあるため、尾道から今治へバスで行く場合に向東BSから今治行きの高速バスに乗る方法もあります。向東BSは福山~今治を結ぶ高速バス「しまなみライナー」の高速道路上の停留所です。

【写真】兼吉渡し:フェリーが到着するとまずは降りる方が優先で
フェリーが到着するとまずは降りる方が優先で

兼吉渡しの船は、桟橋の向かって左側に船の正面を付けるように到着します。到着すると自動車などが降りてきますので、桟橋の隅の方で乗組員の乗船指示があるまで待機しましょう。

【写真】兼吉渡し:尾道渡船のフェリー時刻や料金の貼り紙
尾道渡船のフェリー時刻や料金の貼り紙

兼吉渡しの時刻表も非常にシンプルなものです。自転車やオートバイのほか、乳母車やリヤカーも特殊手荷物扱いとなって10円の料金が設定されていることからも、地元の方々のさまざまな利用があるのだろうなという想像ができますね。

向島側の乗り場(兼吉)

【写真】兼吉渡し:尾道渡船の向島側の兼吉乗り場
尾道渡船の向島側の兼吉乗り場

一方で、兼吉渡しの向島側の渡船乗り場はこのような様子です。桟橋の横にはプレハブの建物があり、ここが兼吉渡しを委託管理しているおのみち渡し船株式会社の事務所があります。2024年には公共交通維持のため尾道市が新たに1隻のフェリーを新造して無償貸与したことが地元紙のニュースになりました。

【写真】兼吉渡し:東西橋交差点から兼吉乗り場へのアクセス道路
東西橋交差点から兼吉乗り場へのアクセス道路

兼吉の渡船乗り場のすぐ横には水路がありますが、その1本西側の細い道にしまなみ海道のブルーラインが引かれていてサイクリング推奨コースを案内しています。国道317号線の東西橋交差点から渡船乗り場までの区間はここを通りましょう。ねじパンが有名な住田製パン所や地ラムネが有名な後藤鉱泉所などの人気スポットもここに点在しています。

【写真】兼吉渡し:乗り場の目の前にある島の駅むかいしま
乗り場の目の前にある島の駅むかいしま

兼吉の渡船乗り場の前は小さな広場になっていて、「島の駅むかいしま」という施設があります。「和茶和茶」という喫茶スペースを併設しているので、ちょっとした休憩にも利用できますね。

【写真】兼吉渡し:大林監督の映画「あした」のロケセット

大林監督の映画「あした」に浜の待合所として登場したロケセットも渡船乗り場すぐ前に保存されていて、現在は路線バスの待合所として利用されています。いくつかのパネル展示もあるので、大林映画ファンの方には必訪のスポットになっています。

向島の「ろ」看板
【写真】兼吉渡し:あまりにも情報が少なすぎる「ろ」の看板
あまりにも情報が少なすぎる「ろ」の看板

余談ですが、兼吉渡しの渡船に乗っていると、向島側の一軒の建物にひらがなの「ろ」と一文字だけの大きめの看板があることが気になるかもしれません。これは漢字で書くと「艪」。手漕ぎの舟の後ろ側についている舟を漕ぐための板のことです。ここは職人さんが木を削って舟の艪を作っている工房「瀬尾ろ工作所」なんです。

AD (Googleアドセンス広告)

福本渡船

重要(福本渡船の廃止について)

尾道~向島の3つの渡船のうちのひとつ、「福本渡船」が2025年3月末をもって廃止されることが発表されました。

【写真】福本渡船:福本渡船のフェリー「第壱弐小浦丸」
福本渡船のフェリー「第壱弐小浦丸」
【イラスト】尾道~向島間の福本渡船フェリーの航路図

向島側の小歌島乗り場が少し分かりにくい場所にあるため、初めて訪れるサイクリング旅行者の利用が少ない「福本渡船」。3つの航路の最安値であるため、地元の通勤や通学での利用に人気があり、ローカル色の強い渡船だと思います。テントのような料金所や尾道側の看板ゲートなど、尾道の旅情を感じられるので、個人的にとても好きな航路です。大林監督の尾道を舞台にした映画『ふたり』や『さびしんぼう』のロケにも使われている、現在運航している渡船で最も歴史ある航路です。

尾道~向島福本渡船
運航福本フェリー株式会社
住所尾道市向島町5611-2
電話番号0848-44-2020

尾道側の乗り場

【写真】福本渡船:福本渡船の尾道側の土堂乗り場と看板ゲート
福本渡船の尾道側の土堂乗り場と看板ゲート

尾道側の福本渡船の乗り場は分かりやすい場所にあります。尾道駅から350mほど、海岸通りを東へと進んだところにあります。尾道の本通り商店街の海側、土堂1丁目。「福本渡船 尾道⇔向島フェリーのりば」という朱色の大きな看板ゲートがあるので目につきやすいと思います。

【写真】福本渡船:この渡船もサイクリングロードのスタート地点のひとつ
この渡船もサイクリングロードのスタート地点のひとつ

福本渡船の尾道側の渡船乗り場にも、しまなみ海道サイクリングのスタート地点のひとつであることを示す看板があります。看板の前には船を待つ自動車のための4台ほどの停車待機スペースが確保されています。自転車の場合、このエリアで待っていると自動車の邪魔になることがあるので、サイドのスペースに避けて待っているといいです。船が着いてから車が降りてきます。全て降りきると乗船が開始します。

【写真】福本渡船:運行時間や運休日の案内貼り紙
運行時間や運休日の案内貼り紙

福本渡船は2022年9月1日から運航時間が変更されていて、乗り場には案内の貼り紙が掲示されています。運行時間が少し短くなったほか、日曜日が運休となっています。やはり観光客よりも地元の通勤通学での利用がメインの航路なんですね。

向島側の乗り場(小歌島)

【写真】福本渡船:向島の小歌島にある料金所テント
向島の小歌島にある料金所テント

福本渡船の向島・小歌島エリアにある渡船乗り場は先述のとおり少し分かりにくい場所にあります。尾道駅前渡船の富浜乗り場の更に水路を下って尾道水道に近い河口付近といったロケーションです。緑色のテントに「福本渡船」と書かれたところが、福本渡船の料金所です。ほかの2航路と違って、福本渡船ではこの向島側の乗り場で、現金にて運賃を支払います。

【写真】福本渡船:富浜橋交差点にある福本渡船案内看板
富浜橋交差点にある福本渡船案内看板

しまなみ海道サイクリングでメインルートを四国側から来ると、国道317号線(県道377号線)の富浜橋交差点に「福本渡船フェリーのりば←」の看板が電柱に掲示されています。レンタサイクルターミナルにもなっている「尾道市民センターむかいしま」がある交差点です。左折してブルーラインに沿って行くと、尾道駅前渡船の富浜乗り場に辿り着いてしまうので、水路に沿って更に北上してください。

【写真】福本渡船:自動車は一方通行に注意してください
自動車は一方通行に注意してください

水路沿いに尾道市立向島中学校の横を300mほど進むと、上の写真の交差点へと出ます。ここから福本渡船の乗り場までは、軽車両を除く一方通行となっています。円を描くようにぐるりと一方通行になっています。自動車やオートバイの方は、ここを左折して福本渡船の乗り場まで進むようにしてください。

【写真】福本渡船:小歌島の福山渡船乗り場の青い桟橋
小歌島の福山渡船乗り場の青い桟橋

サイクリングでは運賃を支払ったら青い桟橋を渡って、サイドに避けて待機します。自動車やオートバイは道路の左側に待機スペースがペイントされています。船が到着後に自動車などが降りるのが完了してから乗船が開始されます。乗船が完了次第、唐突にフェリーが動き出し、尾道の景色を眺めているとあっという間に尾道へと到着します。

【写真】福本渡船:乗り場にある地図看板の案内
乗り場にある地図看板の案内

大きな橋を次々と渡ってくるしまなみ海道サイクリングで、最初や最後に訪れる渡船での移動は、ある種のアクティビティ感や尾道らしい旅情もあり、旅の良いアクセントになっています。スタートでは朝の清々しい海風を感じて、ゴールではもしかしたら夕日に包まれた尾道の絶景を眺めながら。

AD (Googleアドセンス広告)

その他の航路

歌~戸崎航路

しまなみ海道サイクリングでは、あまり使われることがなく、知る人ぞ知るフェリー航路となっているのが、向島の歌港~戸崎港を結ぶ「歌~戸崎フェリー」です。福山市の南側にある沼隈半島方面に尾道市街から行くと、松浦湾という湾をぐるりと遠回りする必要があります。沼隈半島には鞆の浦などの観光地もあり、こちら方面へのアクセスに大変便利です。

尾道~向島歌~戸崎航路
運航おのみち渡し船株式会社
住所尾道市土堂2-10-3
電話番号0848-38-7761

歌~戸崎のフェリー航路も、他の尾道~向島間の渡船と同じように始発と最終便の時刻が決まっているのみで、細かな時刻表は決まっていません。日曜祝日は始発と最終の時刻が変わります。

時刻表歌~戸崎航路
始発6:30
最終19:30

向島側の歌港はこのような様子です。向島の東側の集落を奥まで行ったところに乗り場があり、基本的に無人のフェリー乗り場となっています。戸崎港との間をおおよそ15分間隔で運航していますが、乗る人や車がいない時間帯は止まっていることがあります。そのため、乗船をしたい人が船を呼ぶことができるボタンが設置されています。

時刻表がなく、ボタンで船を呼ぶというシステムが面白いと思います。以前は、手を振って船を呼んだり、ひっくり返せる白黒ボードで船を呼んだりする方式だったそうです。ほかになかなか無い旅体験ができる歌~戸崎航路をぜひ体験してみてください。歌~戸崎航路のより詳しい情報はこちらのウェブページでレポートしています。

しまなみ海道の航路

【イラスト】しまなみ海道の船:しまなみ海道周辺のフェリー・船の航路をまとめた地図
しまなみ海道周辺の航路図(抜粋)

しまなみ海道は高速道路が開通してからフェリーや旅客船の航路がかなり減りましたが、今でも幾つかの航路が残っています。自転車を積載することができる船では、サイクリングでショートカットに利用できます。しまなみ海道の航路はこちらのウェブページにまとめていますので、自転車旅行計画の参考にどうぞご活用ください。


このウェブページでは、しまなみ海道の尾道~向島間の渡船の航路について詳しくご紹介しました。私のこのウェブサイト「しまなみ自転車ツーリングTips」では主に、初心者でも楽しめるサイクリングの聖地、しまなみ海道の情報をまとめています。素敵なヘルメットを手に入れたら、ぜひしまなみ海道サイクリングにお越しください。素晴らしいサイクリングロードと瀬戸内海の風景が待っていますよ!

2024年11月16日しまなみ海道基本情報,船の航路

Posted by カワイユキ