【初心者向け】自転車の輪行:ロードバイクを鉄道や飛行機で運ぶ方法とルール

2024年11月16日

ビギナーサイクリングTips

【タイトル】列車で移動!自転車を分解して収納する輪行のやり方

自分の自転車で旅行をしたいとき、現地までどうやって自転車を運ぶことができるでしょうか。日本では鉄道などの公共交通で自転車を運ぶ場合は、自転車を分解して専用の袋に収納して手荷物として持ち込む「輪行」という手段をとることが多いです。輪行の方法と守るべきルールやマナーも合わせてご紹介したいと思います。

ライター:カワイユキ

こんにちは。しまなみ海道在住のカワイユキと申します。自転車やサイクリングを始めてみたいビギナーの不安や疑問を解決するための情報を、私の体験に基づいてご紹介しています。

初心者でも自転車趣味を安全に安心して始められるガイドブックのようなページを目指して作っている個人ウェブサイトです。私の記事がもしお役に立ちましたらサポートをお願いします。なお、業者様からの掲載依頼はお断りしています。

輪行とは

自分の自転車で遠くへ旅行をしたい、例えばしまなみ海道をサイクリングしたいといったときに、日程や住んでいる場所によっては現地まで何日もサイクリングして向かう(自走する)のは現実的ではないことも。自家用車に自転車を積載して現地まで運ぶ方法もありますが、この場合は自動車を駐車しておく場所の確保、駐車場所まで戻ってくる必要があるなどの縛りができてしまいます。「輪行」と呼ばれる公共交通を使って自転車を運ぶ方法をとれば、これが解決するかもしれません。

【写真】自転車の輪行とルール:新幹線でロードバイクを運んでいる例
新幹線でロードバイクを運んでいる例

自転車旅行と相性がいい公共交通は一般に「フェリー」と「鉄道」「飛行機」と言われています。多くのフェリーでは自転車を分解することなく、そのまま甲板に積載することができます。一方で、鉄道や飛行機には、サイクルトレインなどの特別な列車以外では自転車をそのまま積載することはできません。そこで輪行という方法を用います。

鉄道で自転車を運ぶ方法

【写真】自転車の輪行とルール:JRなどの鉄道では自転車を運ぶことができる
JRなどの鉄道では自転車を運ぶことができる

簡単に言うと「輪行袋」と呼ばれる自転車輸送専用の袋に、タイヤを外すなどして自転車を収納して運ぶ方法です。駅や列車などで大きめの袋を担いで移動している方を見かけたことはないでしょうか。あれがまさに輪行!輪行をしている方が担いでいる輪行袋の中にはロードバイクなどの自転車が収納されています。

このページで主にご紹介すること
  • JRで自転車を輪行する時のルール
  • 新幹線や電車のどこに置けばいいのか
  • 自転車を輪行袋に収納する方法

国鉄・JRでの輪行の歴史

【写真】自転車の輪行とルール:輪行袋に入れた状態のロードバイク
輪行袋に入れた状態のロードバイク

現在、新幹線も含めたJRでは輪行に関してサイズなどのルールが定められていて、その規定に従って自転車を無料(追加料金なし)で持ち込めることが正式に認められています。というのも、元々は競輪の選手が自転車を運ぶ際に特別に認められていた方法で、サイクリング関係の方々の尽力により、1984年10月から有料手回り品切符での輪行が可能となり、1999年1月から無料での輪行が可能となった経緯があります。

年月日国鉄・JRでの輪行の歴史切符
1970年3月10日~日本サイクリング協会の会員のみ、自転車を有料手回り品として持ち込み可能に。追加で有料手回り品切符を購入
1984年10月1日~一般に開放。協会会員でなくても、自転車を有料手回り品として持ち込み可能に。追加で有料手回り品切符を購入
1999年1月1日~有料→無料手回り品扱いに。自転車を無料手回り品として持ち込み可能に。切符の追加購入が不要に
2020年5月1日~新幹線「特大荷物スペースつき座席」の事前予約制を開始。スペースは事前予約+追加料金

鉄道での輪行は、サイクリングに関わる方々が地道に道を切り開いてきて実現し、その後も自転車の愛好家が大切にしてきた文化です。正式に認められているとはいえ、やはり大きくて重い荷物は多くの他の利用者にとって邪魔であることは確かです。輪行をする場合には、初心者であってもルールやマナーを必ず守らなくてはいけませんし、他の利用者の方に危険がないように、安全に充分に配慮する義務がありますね。

自転車旅行の文化のために

今後も自転車旅行の文化が続いて行くため、一部の悪質な利用で輪行が禁止されることがないよう、一人ひとりのサイクリストが最大限に配慮していく必要があると思います。初心者の方も、基本的なルールやマナーからより安全に自転車を運ぶ方法について、詳しく学んで練習もしてから実際の鉄道で自転車を運ぶようにしましょう。

輪行に慣れている方も今一度、決まり事や最新の情報を確認してみましょう!

袋の中身はどうなってる?

駅や列車で見かけるあの大きな袋には、どんな感じで自転車が入っているのでしょう?

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:輪行袋の中に収納されたロードバイクの図解

自転車を分解せずにそのまま袋に入れると多くの場合、規定のサイズ(長さ)をオーバーしてしまうため、折りたたみ自転車でない限り必ず前輪と後輪あるいは前輪のみを取り外して収納します。輪行袋や自転車の種類によっても違うのですが、ロードバイクの輪行で最も一般的なタテ型の輪行袋には、前後輪を外してバンドで縛り付け、上のイラストのような状態で袋に入っています。今回ご紹介する輪行の方法も、このタテ型の輪行袋の例を中心に扱っていきたいと思います。

輪行で広がる世界

鉄道での輪行ができるようになると、自転車での行動範囲が驚くほど広がります。現地まで自転車で走っていくことを自走と言いますが、自走での行動範囲には日程的にも限界があることも多いです。現地までの移動や帰り道に、鉄道を活用できるようになると、隣の県や今まで行ったことのなかった地域を自転車で旅行することができます。また旅の途中でトラブルに見舞われた際も、輪行袋を持参しておき近くの駅まで行ければ、鉄道で移動することもできます。また、この方法を活用すれば、飛行機にも預け荷物として自転車を載せることもでき、海外での自転車ツーリングも夢ではありません。

自分の自転車でしまなみ海道へ

【写真】自転車の輪行とルール:自分の自転車を輪行してしまなみ海道の今治駅へ
自分の自転車を輪行してしまなみ海道の今治駅へ

サイクリングの聖地として有名なしまなみ海道では、レンタサイクルも充実していますが、やはり自分の自転車で走ってみたいという方は多いんです。大勢のサイクリストが輪行で自転車を尾道や今治へと運んできます。東京など関東圏からもなかなか距離がある瀬戸内海の西側ですから、輪行ができるようになれば、しまなみ海道へ毎年自分の自転車でサイクリングに行くということもできるようになりますよ。

輪行の方法を覚えると、自転車旅行の幅がだんぜん広がります!

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輪行のルール

鉄道で自転車を運ぶ輪行では、マナーや他の乗客の方々への配慮なども必要なのですが、まずは基本的なルールをしっかりと確認して、必ず守る必要があります。JRの場合、各社の「旅客営業規則」などの運送約款が守るべきルールとなり、はっきりと制限が規定されています。このあたりは、JRなのか私鉄なのかなどによっても異なる場合があるので、自分が乗る予定の鉄道会社の決まり事を調べる必要があります。

一般的なルール(JR)

ということで、JR各社で定められているルールについてご紹介したいと思います。それぞれの私鉄もこのJRの規定に準拠していることが多いです。

サイズや重さ、個数のルール

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:JRで輪行できる自転車の収納サイズ(縦横高さ)

まずはサイズ個数についての制限です。自転車を輪行する場合も大きさについては、他の「手回り品(旅行で携帯する荷物)」と同じサイズの規定が適用されます。列車内に持ち込めるものは

「携帯できる荷物で、タテ・ヨコ・高さの合計が250cm(長さは200cmまで)以内、重さが30kg以内のものを2個まで持ち込むことができます(傘や杖、ハンドバッグなどの身の回り品は個数に数えません)。」

JR四国

となっています。

先述の通り、自転車そのままだと長さが2mを超えることがほとんどです。前輪だけ外すタイプの輪行袋の場合、一般に販売されているにも関わらずこの規定を超えるものもあるため、購入時に注意が必要です。JRの列車に載せることを前提で輪行袋を購入する際には必ずサイズが規定に合っているか確認するようにしましょう。規定サイズ内であっても出来る限り小さくしておいたほうがより邪魔になりませんので、前後輪を外して収納するタイプの輪行袋がおすすめです。

自転車輪行ならではのルール

手回り品の中でも自転車に関しては特別に記述があります。JR西日本のウェブサイトによると無料で持ち込むことができる手回り品の例として

サイクリングやスポーツ大会などに使用する自転車は、解体し専用の袋に収納したものまたは、折りたたみ式自転車においては折りたたんで専用の袋に収納したもの

JR西日本

と規定されています。つまり、次のような状態で列車にロードバイクなどの自転車を積載することはできません。

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:JRの列車に自転車を積載できない例(袋なし、飛び出し、ごみ袋)

まず、規定内のサイズであっても専用の袋なしでの積載はできません。折りたたみ自転車などでサイズ的に小さくてもサイクルトレインでない限り、むき出しでの積載は認められていません。次に、サドルやシートポスト、ハンドル、フロントフォークなどの自転車の一部が袋から飛び出ているのもNGです。専用の袋に完全に「収納」する必要があります。サドルを出すことを前提にして作られている輪行袋もあったりしますが、JRでの積載はNGです。他の乗客の方の安全のためにも完全に収納するようにしましょう。また、「専用の袋」を用いる必要があります。ゴミ袋やレジャーシートで包んだだけでの持込みはできません

輪行する際のルールのポイント
  • 3辺合計が250㎝まで、かつ長さが2m以内、30㎏以下
  • 分解や折りたたんで専用の袋(輪行袋)に完全に収納すること

このような基本的なルールが明確に定められています。このほかにも、例えば満員電車へ自転車を持ち込むことで他の乗客の方の安全が確保できないと車掌さんや駅員さんらが判断した場合には、乗車を断られることがあります。安全のための判断や権限は、車掌さんや駅員さんらにありますので、必ず従いましょう。私も輪行する際にはできるかぎり混雑していない時間帯や車両などを選ぶようにしています。多少、移動時間が掛かっても、のぞみを使わずにひかりやこだまを使うこともあります。

輪行のルールをしっかりと理解し、必ず守りましょう!

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輪行バッグの置き場所

実はJRの「旅客営業規則」では、持ち込んだ輪行袋に入った状態の自転車を置く場所についての指定はありません。持ち込んだ各人が、他の乗客の乗り降りの邪魔にならず、可能な限り危険のない場所に、倒れないように置く必要があります。列車の車両タイプによっても最適な場所は異なるのですが、そうした配慮をするとサイクリストがよく置き場所として利用するスペースというものがある程度定まってきます。

普通・特急列車の置き場所

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:通勤型列車や特急列車で輪行する時の自転車の置き場所の例
場所の例説明と気を付けるべき点
運転台後ろや横のスペース通勤型ロングシートではここが定番。手すりにストラップで固定。運転席の出入り口を避ける。
デッキの出入り口横スペース特急などはデッキにスペースがあることも。他の乗客の乗り降りの邪魔にならないよう。
最後尾の座席の後ろのスペース特急などクロスシートでは、最後尾の座席後のスペースが定番。指定席の場合は最後尾を予約。
荷物専用スペース特急などではデッキ周辺に荷物専用スペースがある場合も。他の方の荷物と譲り合いながら。
トイレ前の座席のないスペース車両タイプにもよりますが、トイレ前に座席のないスペースがあることも。
車いす用のスペースここに置かせてもらう場合は車掌に声かけて。車いすの方が来たら移動させましょう。

どこのスペースに置く場合でも、車掌さんに一声かけておくことが大切だと思います。どこに置けばいいか分からない時も車掌さんに確認を取りましょう。特にデッキなどに置いて、その場を離れる場合などは車掌さんに持ち主が明確に伝わっていることが大事ですね。不審物とならないように。また盗難防止のために南京錠などでロックしておくことも必要です。

車掌さんが巡回してきたときに輪行していることを伝えましょう。

新幹線での置き場所

【写真】自転車の輪行とルール:JR岡山駅ホームに停車中の新幹線のぞみ「N700」系
新幹線に自転車を載せるにはどうすればいいのでしょう

JRでは普通列車や特急列車だけでなく、新幹線でも自転車を輪行することができます。サイズや重さ、個数、方法に関する輪行のルールは、基本的には新幹線でも変わりません。普通列車にはない、特大荷物スペースの活用など、少し違いもあるのでご紹介しようと思います。

特大荷物スペース

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:新幹線の「特大荷物スペースつき座席」と「特大荷物コーナーつき座席」図解

近年、海外からのインバウンド旅行客が増えたこともあり、大きなスーツケースを新幹線に持ち込む方のニーズが高まっていました。そうした背景から、2020年5月1日より東海道~九州新幹線で「特大荷物スペースつき座席」「特大荷物コーナーつき座席」の販売が始まりました。「特大荷物スペースつき座席」では指定席車両の最後部の座席後ろスペース、「特大荷物コーナーつき座席」では座席最寄りのデッキにある専用スペースに手回り品を収納することができます。自転車の輪行で活用できるのは「特大荷物スペースつき座席」の方ですね。

【写真】自転車の輪行とルール:特大荷物コーナーつき座席を利用した輪行例
特大荷物コーナーつき座席を利用した輪行例

このサービスの開始に伴い、大きなスーツケースなどのタテ・ヨコ・タカサの合計が160㎝以上の手回り品を新幹線に持ち込む際には、これらの座席を予約することが必須となりました。誤解されている方も多いようですが自転車を含むスポーツ用品はこの規定から除外されているので、これまで通り無料でデッキなどへ持ち込むことも可能です。つまり、新幹線輪行では「特大荷物コーナーつき座席」の予約が必須になったわけではありません。

以前は新幹線輪行をする場合は、みどりの窓口で「車両最後部の3列側の座席指定をお願いします」と伝えて指定席を取ることが一般的でしたが、これが無料ではできなくなりました。ここが有料スペースとなったので、このスペースに自転車を置きたい場合には「特大荷物コーナーつき座席」を予約し追加料金を支払う必要があります。

予約しても確実に置けるとは限らない

「特大荷物スペースつき座席」を予約していたとしても、それぞれの座席の真後ろのスペースのみ(およそ50㎝×50㎝)が確約されるだけなので、他の旅行者のスーツケースなどの状況によっては自転車を置けない場合があります。通常、ロードバイクのタテ型輪行袋でも座席1.5席分くらいのスペースを専有してしまいます。お金持ちの方であれば連続した2座席分予約する方法もありますが…。基本的には乗客同士で配慮しあってうまい感じに置くか、デッキなどへ移動させる必要があります。

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:新幹線デッキで輪行する場合の乗り降り配慮の図解

新幹線デッキに自転車を置く場合は、座席へ座らずにそのままデッキに居ることも多いです。各駅で開くドアと逆側に移動させ、乗り降りの邪魔にならないようにします。次の駅で開く扉が右側か左側なのかは、駅に到着する前にアナウンスが入りますし、インターネットで調べることもできます。

自分が座ることよりも、他の乗客の方の邪魔にならないこと、安全を守ることが優先です。

予讃線特急の例

【写真】自転車の輪行とルール:岡山駅に停車中の予讃線特急「しおかぜ号」
岡山駅に停車中の予讃線特急「しおかぜ号」

先述の通り、車両によって構造がかなり違うので、ロードバイクなどの自転車輪行でどこに置けばいいのかは変わってきます。しまなみ海道の四国側のスタート地点である愛媛県今治市へのアクセスでは、岡山駅で新幹線から予讃線の特急「しおかぜ号」がよく利用されます。このしおかぜ号もどの車両がくるかによって違うのですが、ひとつの例として取り上げたいと思います。

【写真】自転車の輪行とルール:特急しおかぜ号の荷物スペースでの輪行例
特急しおかぜ号の荷物スペースでの輪行例

しまなみ海道サイクリングで頻繁に利用される路線とあって、特急「しおかぜ号」では最新の車両であるほど、ロードバイクなどの自転車を輪行で利用できるスペースが割とある印象です。車両最後部の座席後ろのスペースも活用できますし、車いす用のスペースもあります。上の写真のように大きな荷物用のスペースもあります。私はいつも車掌さんに「このスペースに自転車を置かせていただいていいですか?」と声をかけるようにしています。空いていればこれらのスペースに自転車を置いても問題ないとのことでした。

分解や組立てる場所

駅構内での移動の配慮

ロードバイクなどの自転車を輪行する場合には、車両の中だけでなく、駅構内での徒歩移動の際にも周りに気をつかう必要があります。袋に入っているとはいえ、ある程度の重量がある硬い金属を運んでいるので、周りの方とぶつかって怪我をさせないように注意を払いましょう。また、階段やエスカレーターで落下させてしまう事故も大変なことです。私は乗り降りの乗客が収まったあとに移動を開始する、エレベーターを使うなどの配慮もしています。

列車の乗り換えがあるときは、そうした配慮も必要ですし、跨線橋を越える必要があったり、別のホームまで徒歩で移動しなくてはならないなど、通常の徒歩以上に時間がかかります。

分解や組立をする場所

【写真】自転車の輪行とルール:JR尾道駅の輪行の方向け自転車組立場の例
JR尾道駅の輪行の方向け自転車組立場の例

自転車を運ぶ際に、輪行袋に収納することは、車両の中だけでなく駅構内にも適用されます。つまり、駅構内で自転車を分解したり組み立てたりすることはできません。車両に乗り込む前は駅の建物の外でロードバイクを分解して輪行袋に収納、車両を降りた後は駅の建物の外まで出てから組立てを行う必要があります。しまなみ海道のスタート地点となっているJR尾道駅やJR今治駅では、この分解・組み立てを行うスペースが指定されています。しまなみ海道への輪行の際にはこうしたスペースを使いましょう。

【写真】自転車の輪行とルール:JR今治駅前の自転車組立場所の例
JR今治駅前の自転車組立場所の例

こうした自転車組立スペースが設置されている駅は、まだまだ日本では珍しいです。こうした専用スペースが無い場合は、通行の邪魔にならないような駅構外の壁がある場所をよく利用します。小さいパーツなどが落ちると大変なので、側溝などの穴がない場所を選びましょう。夏場は屋根がある場所が見つかるとありがたいですね。

旅先ではネジひとつでも、無くしてしまうと現地調達が大変なこともあります。

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輪行のやり方の例

続いて、具体的にどうやって自転車を分解して、輪行袋に収納するのかをイラストとともにご紹介していこうと思います。リムブレーキのロードバイクで一般的に利用されることの多いタテ型の輪行袋(今回はタイオガ社のフレックスポッドという輪行袋を例に)に収納する方法を例に、手順を紹介します。

タテ型(ロードバイク)

おおまかに言うと、前輪と後輪を外して、エンド金具という金具を装着、車輪などをバンドで留めて輪行袋に収納するという手順です。最低限必要なものは以下の通りです。

輪行時に最低限必要なもの
  • ロードバイク
  • タテ型の輪行袋
  • 固定用のバンド(たいてい輪行袋に付属)
  • エンド金具
  • 軍手

輪行袋には主にタテ型とヨコ型の2種類がありますが、今回はタテ型をメインに紹介します。自分の自転車の車種やサイズなどによっても最適な輪行袋は変わってきます。輪行袋の素材や厚さ、重さ、収納時のサイズにも商品によってかなり違いがあります。「タイオガ」「オーストリッチ」といったブランドが人気で、自転車ショップでも手に入れやすいです。

いきなり車輪を外す前に

まずは、サイクルコンピュータやライトなどの邪魔になるものは外しておきましょう。次にギアチェンジ。後輪を外しやすいように後ろ側のギアはトップ(一番外側の小さいギア)にしておきます。前側のギアはアウター(外側の大きいギア)に入れておくといいです。

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:キャリパーブレーキやVブレーキといったリムブレーキの開放の仕方

そして、前後のリムブレーキを開放しておきましょう。ロードバイクに多いキャリパーブレーキの場合は、ブレーキについているリリースレバーを上げると、左右のブレーキパッドの間隔が開いて車輪が外しやすくなります(クロスバイクなどのVブレーキの場合は、ブレーキアームからリード管を取り外すことで開放できます)。

組み立てが不安な方は、元の状態の写真を撮りながら作業するといいです。

タテ型の輪行作業の基本的な手順
  1. 前後の車輪を外す
  2. エンド金具を装着する
  3. 車輪をバンドで留める
  4. 輪行袋を被せる
  5. 自転車を立てて収納

1. 前後の車輪を外す

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:輪行の手順の図解:ロードバイクを上下逆さにする

それではいよいよ、輪行袋にロードバイクを収納する手順に入ります。手が汚れることもあるので、軍手をしておくといいですよ。ロードバイクから車輪を外す際には、車体を上下逆さにすると楽に作業ができます。地面の状態によってはサドルやハンドル周りが汚れることもあるので、もしあれば下に雑巾などを敷いて作業をするといいです。

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:クイックリリースの場合のロードバイク車輪の外し方を図解

ロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイクなどのスポーツ自転車では、スパナなどの工具を使わなくても車輪が外せるように「クイックリリース」というしくみで固定されていることが多いです。レバーを立ち上げて開放、ナットを抑えながら、レバーをクルクルと反時計回りに回すことで車輪を外すことができます。クイックリリースの棒にはバネなどの細かい部品もあるのでなくさないように注意です。

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:輪行の手順:前輪と後輪を外すことを示した図解

ロードバイクから車輪を外すと、チェーンが宙ぶらりんの状態になります。クロモリロードバイクなどには、この緩んだチェーンが外れたりフレームを傷つけたりしないように「チェーンレスト台座」が付いていることがあります。こうした自転車では、チェーンレスト台座にチェーンをかけておきます。汚れなどの防止のために「チェーンカバー」を使う人もいます。

特に後輪を外したり付けたりする練習は何度も繰り返して慣れておきましょう。

2. エンド金具を装着する

取り外した前後輪はひとまず置いておきます。続いて「エンド金具」という輪行用の金具を装着する作業にうつります。エンド金具は、輪行袋によっては付属している場合もあれば、別売りの場合もあります。タテ型の輪行袋を使う場合には、このエンド金具が「脚」の役割もしますので、必須のアイテムと言えます。

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:輪行の手順:エンド金具を後輪の代わりに装着する

エンド金具は、後輪を外したところに車輪の代わりに装着するイメージです。脚の役割だけでなく、ロードバイクで急所となりやすい後側の変速機(リアディレイラー)を守る役割をしたり、横からの圧力でシートステーやチェーンステーが破損することを防ぐ役割もあります。しっかりと固定をし、ちょっとの力では動かないくらいにしておきましょう。縦置き時に締めが緩いとリアディレーラーの破損に繋がります。

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:エンド金具の後輪への装着の仕方を図解

タテ型の輪行では、このような「コの字型」のエンド金具をよく使います。折りたたみ式になっているものが多く、使わない時に収納しやすいようになっています。ヨコ型の輪行では、もっとシンプルなエンド金具を使うこともあります。今回は、後輪のみにエンド金具を装着する方法ですが、より心配な時は前側の車輪の代わりに前輪用エンド金具を装着することもあります。

3. 車輪をバンドで留める

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:輪行の方法:ロードバイクフレームに前輪と後輪をバンドで固定する図解

たいていの輪行袋には車輪をフレームに固定するためのバンドが付属しています。付属していない場合は、どのようなものでもいいので、しっかりと固定できるバンドを用意しましょう。オーソドックスな方法としては、上の図の3か所で留めるとハンドルが動いたり、車輪がずれたりしないのでいいと思います。とにかく、この時にタイヤの位置などを調節して、しっかりと動かないように固定することが大切です。

4. 輪行袋を被せる

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:輪行の手順:輪行袋を上から被せる図解

輪行袋をロードバイクに被せる方法は、使用する輪行袋にもよるのですが、今回使用しているタイオガのフレックスポッドという輪行袋はこの状態で上から被せます。輪行袋を被せた状態で、自転車を立てる方式です。このほかにも、あらかじめ下に輪行袋をしいておき、3方向にあるジッパーを閉める方式などもあります。この時点で肩掛け用のストラップもフレームなどに固定しておきます。

5. 自転車を立てて収納

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:輪行の手順:自転車をエンド金具側を下にして立てて収納する図解

ロードバイクごと、エンド金具側が下になるように立ち上げ、ジッパーを閉めて完了です。サドルの後部とエンド金具が地面に接地します。場合によってはタイヤも地面に接地できると、自立しやすく置いたときに安定すると思います。このあたりは、何度もトライして、最適なポジションを探し出してみて下さい。先ほども書きましたが、この時にエンド金具が緩いとリアディレーラーを破損する可能性がありますので、気を付けてください。

レバーなどの小物はまとめて。その辺に落ちていないか充分にチェックしてください。

ヨコ型(MTB等)

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:マウンテンバイクやツーリングバイクでもヨコ型輪行の図解

マウンテンバイクツーリングバイクなどの重量があるスポーツ自転車やディスクブレーキのロードバイクなどの場合は、ヨコ型の輪行袋を使うことがあります。途中までは、タテ型の輪行の方法とほぼ同じです。輪行袋のタイプによっては、車輪は両サイドにあるポケット状の部分に収納するものもあります。

横方向にかさばるため、鉄道の置き場に多少苦労するデメリットもありますが、ディレイラーの破損リスクは少ないです。また、背が低い方などは、この方が持ち運びがしやすいです。タテ型の輪行袋とヨコ型の輪行袋にはそれぞれメリットとデメリットがありますので、それぞれの特徴を表にまとめてみました。

特徴タテ型輪行袋ヨコ型輪行袋
置くときのスペース狭いところにも置きやすい幅のあるスペースが必要
運びやすさ背が低い人だと大変持ち運びやすい
破損リスクエンド金具不調でディレイラー破損ディレイラー側をぶつけないように注意
必要な部品エンド金具が必須エンド金具なしでも可能
安定性支点間が狭く少し不安定支点間が広くより安定

伝統的なツーリングバイクの輪行

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:伝統的なランドナーなどのフォーク抜き輪行やデモンタブル輪行の図解

伝統的なランドナーと呼ばれるツーリングバイクでは、前輪を外さなくてもフロントフォークごと取り外れる機構(フォーク抜き輪行と呼ばれます)が付いていたり、フレームの中途に取り外し金具がついていてフレームを分割できたりする(デモンタブル)ものもあります。泥除けも工具無しで分割できるものも。自転車をそのまま列車に載せられることが多い欧米諸国と違って、輪行しなくてはいけない日本では、より簡単に収納できるためにこうした分解の仕組みが独自に進化してきたという歴史もあります。こうしたツーリングバイクでは、ヨコ型やタテ型の輪行ともまた違ったスタイルで、より省スペース化して自転車を運ぶことができます。

折りたたみ自転車

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:折りたたみ自転車を利用した簡単な輪行の方法

小さく折りたたんで簡単に収納ができることに特化した自転車を、折りたたみ自転車フォールディングバイクと言います。特により小さく収納できるために、ミニベロと呼ばれる車輪の小さな自転車に多い自転車タイプです。これら折りたたみ自転車の多くは、前輪や後輪を外すという手間なく、工具もなしで折りたたむことができます。それぞれの自転車によって折りたたんだ時のサイズなども違うので、大抵は専用の輪行袋が販売されています。初心者でも最も簡単に輪行をして自転車旅行を楽しめる現実的な方法だと思います。

キズや破損の予防方法

ロードバイクを輪行するときに不安なのが自転車の破損やキズですね。大きな破損については、エンド金具や輪行袋への収納を正しく行うことが大切です。一方、キズについては、いかに各部分を「養生」するかにかかっています。専用のカバーや布、プチプチなどを駆使して養生すればするほど、キズのリスクは下げることができます。しかい、あまりにやりすぎると現地でそれらをどう処理するのか、帰りまでずっと持っているのか、帰路の輪行の際にどうするか、などの問題も出てきます。キズが付きやすい部分を重点的に、的確に養生することが大切です。

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:輪行時の傷や破損の予防方法図解

チェーンカバー

ほとんどの輪行の方法では、後輪も取り外すことになるため、どうしてもチェーンが緩んで自由に動く状態になってしまいます。チェーンオイルや汚れの付いている状態のチェーンは、輪行袋自体やフレームを汚す原因となります。あるいはチェーンがぶつかったことによりフレームに傷がついてしまうことも。こうした事態を避けるため、「チェーンカバー」という商品が販売されています。簡易的には、タオル雑巾を養生テープで縛るなどしても代用ができます。

チェーンステーカバー

チェーンによるキズ対策では、緩んだチェーンが当たりやすいフレームの部分を保護するという方法もあります。チェーンに一番近いところにあるフレームである「チェーンステー」を保護します。マウンテンバイクなどの激しい走行をする際には、チェーンが上下してチェーンステーに接触することがあるので、そもそもチェーンステープロテクターを装着している場合もあります。輪行用に販売されている「チェーンステーカバー」を用いるか、布やプチプチなどで養生するといいです。

スプロケットカバー

後輪についている複数のギア(スプロケット)も、養生すべき場所です。後輪を収納するときに、このスプロケットを内側にするか、外側にするかという議論もあります。私は自分も他人も含めて怪我の防止のために、内側向きに収納するようにしています。この場合、フレームなどとスプロケットが接触してキズがついたり、破損したりするリスクが高いです。専用の「スプロケットカバー」を装着してから収納するといいと思います。

前後輪のエンド金具

フレームは車輪を外すと、その部分に空間ができるため、横方向からの圧力にとても弱くなります。特にカーボン素材のロードバイクの場合は、思わぬ横からの圧力によってフレームに致命的な破損が生じることがあります。先に紹介したリア用のエンド金具は、立てた時の脚としての役割が大きかったのですが、ヨコ型の輪行袋を利用する際にも、つっかえ棒の要領で前後にエンド金具を装着しておくとこのリスクを下げることができます。

リアディレイラーを外す

ロードバイクやマウンテンバイクの輪行で、最もトラブルが起きやすいのがリアディレイラー(後ろ側の変速機)です。どうしても構造上、フレームから飛び出たような場所に装備されています。また、フレームとリアディレイラーを繋ぐ「ディレイラーハンガー」という部品は、リアディレイラーに衝撃があったときにフレームもろとも壊れないように、わざと曲がりやすかったり破損しやすかったりする構造になっています。輪行中にディレイラーハンガーが曲がるトラブルは割と多く、種類も多いため現地調達が難しく、走行不能に陥る可能性もあります。そのため、リアディレイラーを外してフレームの内側に養生して垂らしておくという方法もあります。リアディレイラー専用の「保護ケース」も販売されています。

より安全な収納方法

輪行している時に自転車そのものが破損したりキズ付いたりしないための養生について紹介しましたが、次は自分や他人がケガすることなく安全に運ぶための工夫について紹介しようと思います。とにかく「外に出っ張っている部分を極力減らすこと、保護すること」が大切です。

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:自転車をより安全に収納するアイデア

ブレーキレバーを留める

ロードバイクに多いドロップハンドルやマウンテンバイクに多いフラットバーハンドルのどちらでも、ブレーキレバーは外側に飛び出た状態になりやすい突起のひとつです。ブレーキレバーを引いた状態でハンドルとともにぐるりとバンドで固定しましょう。ディスクブレーキの場合は、車輪を外した状態でレバーを引くとブレーキパッドが出てきてしまうことがあるので、パッドスペーサーを装着してからこの作業を行ってください。

ペダルを外す

ロードバイクなどの自転車を実際に輪行袋に収納してみると分かりますが、ペダルが横方向に飛び出すのが気になるかもしれません。ペダルは横方向への突起になるので、この飛び出しがなければ、よりスマートに省スペースできますし運ぶときに体に当たらずに済みます。通常のペダルだと、ペダルを外すためのペダルスパナやレンチといった工具が必要となるので、これらを持参する必要があります。特殊なペダルですが、工具なしでクイックに着脱可能なペダルも販売されていて、これらは輪行のニーズに特化しています。

外側のハブを保護

実際に輪行袋に入れた自転車を運んでみると、腰のあたりに車輪のハブが当たって痛い!という経験をすることも多いと思います。ペダルなどと比べると小さな突起、飛び出しですが、ここが腰に当たっているとアザができたりします。持ち上げたときに、自分の側にくる車輪の外側のハブに布を養生テープで保護するなどして、クッション性を持たせるのがおすすめです。ハブが腰に当たらないように自転車を身体からずらして持つと変に力がかかって意外と疲れます。

元に戻す練習

当たり前ではありますが、自転車を分解して現地まで運んだら、再度走り出すために自転車をもとの状態に組み立てる必要があります。輪行解除とも言います。基本的には分解したときと逆の手順でもとに戻していけばいいのですが、慣れるまで時間がかかるかもしれません。車輪がしっかりとはまっていなっかったり、各部の取り付け方が間違っていたり、締め付け方が甘かったりすると、うまく走行できなかったり事故に繋がったりする恐れがあります。

前後の車輪を正しく装着して、正しく固定。開放していたブレーキをもとに戻して、正しく効くようにする。ワイヤーが正しく張られているか。輪行したことによる不具合がないかどうか。などをしっかりと作業し、正常通り動くかどうか、安全を確認する必要があります。このあたりは慣れるまで、経験者の方に付き添ってもらって何度も練習した方がいいと思います。特に、初心者の方だと、チェーンがあるので、後輪をうまくはめるのにハードルが高かったりします。現地で困らないように、このあたりは練習あるのみです。

自転車ショップなどで輪行の講座やワークショップが開かれることもありますよ!

「輪行」がよくわかる本

自転車雑誌の定番「CYCLE SPORTS」を出版している八重洲出版から輪行特集のムック本が販売されています。

さまざまなタイプの自転車で輪行をマスターするためのサポートとなるムック本だと思います。写真や図解も多く、情報もかなり細かいので初心者の方にもおすすめの一冊です。実際に輪行を活用して自転車旅行をしたレポート記事やコラムなども掲載されていて、遠くへ自転車で出かけたくなると思いますよ!

飛行機やバスでの輪行

バスでの輪行

【写真】自転車の輪行とルール:高速バスや路線バスでは輪行できない場合が多い
高速バスや路線バスでは輪行できない場合が多い

「バスは基本的に自転車の輪行ができない」というのが日本では多くのサイクリストの認識として一般的だと思っています。これはそれぞれのバス会社やバス路線の規約によるのですが、多くの高速バスでは「自転車の持ち込みは輪行袋に入れた状態であってもお断りしています」といった文言が利用規約に記載されています。

これは、鉄道に比べてバスでは荷物を積載できるスペースがより狭く、限りがあることで、積載の確約ができないということが大きいと思います。また、荷物スペースのサイズから、輪行袋に入れた自転車を横置きにする必要があったり、複数の自転車を重ねて積載する必要があったりするため、自転車の破損などのトラブルが起きやすいという理由も、自転車の積載を不可としている理由のひとつだと思います。

しかしながら、最近はバス会社によって「自転車積み込みプラン」などの事前予約で自転車を輪行状態で積載できる路線なども少しずつですが、出てきていたりもします。高速バスでも輪行ができる環境が少しずつ変化してきているようです。破損リスクは鉄道よりも高そうなのは、理解したうえで利用するといいと思います。こうした多くの輪行サービスで、輸送中の自転車の破損に対する補償はなく、自己責任となることがほとんどです。

飛行機での輪行

一方で、飛行機では自転車の輪行が可能な場合が多いです。もちろん、機内持ち込みではなく、預け荷物として預けることになります。自転車そのままの積載はできず、鉄道に載せる場合と同じく、分解するなどして輪行袋に収納する必要があります。また、預けることができる荷物のサイズや重さ、個数は各航空会社によって異なります。私も何度か飛行機での輪行をしたことがありますが、JALやANAは無料の範囲内で収まることが多く、LCC各社の場合には追加料金がかかることが多かったです。

飛行機での輪行手順
  1. 手荷物カウンターに申し出る
  2. 保安スタッフによる中身の確認
  3. 破損の誓約書へのサイン
  4. 自転車をカウンターに預ける
  5. 現地の空港で受け取る

飛行場で手荷物カウンターへ行き、預け荷物の手続きをします。窓口で自転車を預けたいことを申し出ると、保安のスタッフの方の指示があるのでそれに従い、輪行袋を開けて中身の確認をしてもらいます。工具などは自転車とは別でチェックが必要なこともあるので、取り出しやすい場所に袋などにまとめて入れておくといいです。最後に「自転車の破損などがあっても航空会社に責任はない」という誓約書にサインをして、カウンターに預ければOKです。

自転車以外のもの機内持ち込み預け荷物
工具(六角レンチなど)×輪行袋にまとめて入れる
電子機器(サイコンなど)電源を切ったりバッテリーを外して×
ゴムのり・スプレーなど××

預けたスーツケースなどは到着後の荷物受取り所でベルトコンベアーに乗せられて流れてきますが、日本国内の便では、自転車はベルトコンベアーではなく、スタッフの方が別で持ってきてくれることが多いです。ほとんどのスーツケースが流されてから持ってきてくださることが多いので、気長に待ちましょう。海外の空港では、そのままベルトコンベアーで出てきたこともあります。

飛行機輪行用の輪行袋

鉄道での輪行では自分で自転車を運んで座席に近いところに自分で置くので、扱いなどは自分でコントロールできるのですが、飛行機では預け荷物のなるため、預けた後の扱い方はコントロールできません。破損の誓約書も書いているので、基本的にはどんな扱いを受けて自転車が壊れても、どうにもならないことが多いと思います。そのため、より入念な養生と保護が必要となります。

輪行袋の中には、ハードケースのような飛行機輪行用の輪行袋もあり、海外への遠征などではこうしたものを使うこともあります。通常の輪行袋よりも破損のリスクを下げることができます。しかし、通常の輪行袋のように小さく収納することが難しい商品がほとんど。現地で、自転車旅行中に預かってもらえる場所を探す必要があります。初日と最終日に空港近くのホテルに宿泊し、事前にケースを預かってもらえるようにお願いをしておくといった手段が考えられます。

予備パーツの持参

これは、鉄道であってもバスであっても、飛行機であっても言えることですが、壊れやすく現地調達が難しいパーツについては予備のものを持っておくと安心です。特に、バスや飛行機など自転車破損のリスクがより高い場合はなおさらです。特に、ディレイラーハンガーは形に種類が多く、現地調達が難しいわりに曲がるトラブルが多いので、予備で購入してもっていくのがおすすめです。

一方で、パンク修理セットなど現地で購入した方がいいものも実はあります。パンク修理セットに入っている「ゴムのり」だったり、スプレー系、チェーンオイル系、CO2ボンベだったり、航空法で飛行機への持ち込みが禁止されているものは、手荷物カウンターで没収となります。

タイヤの空気圧を下げる

飛行機の輪行でよく議論となるのが「タイヤの空気圧を下げておくべきか」という問題です。飛行機が高高度を飛ぶため、気圧が低くなりタイヤがパンクする恐れがあるのではないかというものです。保安スタッフの方に聞いたことがありますが、荷物を入れる飛行機内のスペースも客室のように気圧がある程度コントロールされているため、基本的には空気を抜く必要はないそうです。私もそれ以来、空気を減圧せずに飛行機輪行していますが、今のところパンクなどのトラブルにあったことはありません。より慎重になるなら念のため減圧しておくと安心であることには違いないと思います。携帯ポンプなど現地で空気を入れる手段もお忘れなく。

飛行機輪行ができるようになると海外自転車ツーリングにも、行けるようになりますね!

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その他の輪行情報

キャンプツーリング輪行

【写真】自転車の輪行とルール:キャンプ道具とツーリングバイクを輪行する旅
キャンプ道具とツーリングバイクを輪行する旅

ツーリングバイクなどの自転車でのキャンプツーリング時に輪行をする場合には、自転車以外のキャンプ用品などの荷物をどうするのがいいでしょうか。大きな輪行バッグであれば、フレームの間などのスペースに、キャンプ道具を小分けしていれる方法もあります。この場合、輪行袋がかなり重くなるので持ち運びがかなり大変です。輪行袋のが逆側の手でサイドバッグを持つ方法もありますが、持つことができる個数には限界もあります。

【イラスト】スポーツ自転車の輪行の方法:キャンプツーリングの輪行イメージ

そこで自転車キャンプツーリングの輪行では、キャンプ道具などを事前にヤマト運輸などの配送サービスでへと送っておくという方法を取ることがあります。自転車だけを輪行で運ぶことになるので、自転車キャンプツーリングのハードルがだいぶ下がるのでは、と思います。なお、キャンプ道具の中でガスボンベなどは配送サービスで送ることができないことも多い(特に航空輸送は完全に不可)ので、現地のホームセンターやアウトドアショップなどで調達するのがおすすめです。

自転車を配送する方法

ゴールデンウィークなどの大型連休シーズンなどに、混雑した新幹線などで輪行することが難しいということもありますし、移動の間、大きくて重い荷物を持ち運ぶのは大変という場合もあると思います。そういった際には、自転車を自分で運ぶのではなく、現地(1泊目の宿やスタート地点近くの営業所など)へと配送サービスで送るという方法も考えられます。以前はヤマト運輸の「サイクリングヤマト便」で輪行状態で送る方法(日本サイクリング協会会員の特典として実施されていたサービスです)が一般的でしたが、2021年10月3日に惜しまれつつも廃止されました。

そのため現在は、西濃運輸「カンガルー自転車イベント便・自転車輸送便」を活用する方法や、佐川急便の配送を活用した民間の配送請負業者「シクロエクスプレス」を活用する方法などがあります。専用の段ボールを購入し、前後輪を外して収納したものを配送することが多く、輪行袋での配送には制限がある場合があります。しまなみ海道へ自転車を配送する場合には、佐川急便「しまなみ海道 手ぶらサイクリング」の自転車配送サービスが利用できます。

サイクルトレイン

オランダやドイツ、デンマークといったサイクリング先進国では、多くの鉄道車両に自転車をそのまま積載することができます。日本ではまだまだ一般的には普及していませんが、いくつかの私鉄などで特別なサービスとして提供されている場合があり、「サイクルトレイン」と呼ばれます。サイクルトレインを使えば、面倒な輪行作業をして自転車を積載する必要がないため、とても気軽にサイクリングと鉄道を組み合わせることができます。

特に地方の私鉄では、利用促進や観光促進の一環としてサイクルトレインの活用が取り入れるムーブメントがあり、千葉県の「いすみ鉄道」、岐阜県と三重県の「養老鉄道」、島根県の「一畑電車」、熊本県の「くま川鉄道」などが有名です。最近は、土日限定だったり、混雑度の低い指定列車などに限定してサイクルトレインを実施している路線もかなり増えています。しまなみ海道でもJR四国による「えひめ・しまなみリンリントレイン」が実施されるなど、輪行をしなくても鉄道をサイクリングに活用できる環境が少しずつ欧米に近づいています。

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サイクリングハウツー

スポーツ自転車の種類や特徴

スポーツ自転車とひとことに言っても、その種類はたくさんあって、初心者の方やサイクリングに興味を持ったばかりの方は、どんな種類があるのか、どこがどう違うのか、なかなか分かりにくいと思います。ロードバイクやマウンテンバイク、クロスバイクなどスポーツ自転車の特徴と、どんな使い方にぴったりなのかを大まかにご紹介しています。

自転車の各部の名称と仕組み

ロードバイクやクロスバイクなどのスポーツ自転車をこれから趣味にしてみたいなぁ、サイクリングを始めてみたいなぁという方に、ひとつハードルが高く感じるのが「専門用語」。実際に自転車ショップに行ってみたり、すでにサイクリングを趣味にしている方にオススメ情報を教えてもらったり、そんなときに、事前にちょっとでも知っておくと何かと便利な「自転車の各部分の名称」について、必要な部分に絞ってご紹介してみました。


このページでは自転車を分解して袋詰めして鉄道などの公共交通機関で運ぶ輪行という手段についてその方法やルールを詳しくご紹介しました。このウェブサイトでは、しまなみ海道のサイクリング情報のほかに、初心者の方向けのサイクリングの始め方の情報もまとめて発信しています。サイクリングの始め方のガイダンスは、以下のページにまとめておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

2024年11月16日ビギナー・初心者必見

Posted by カワイユキ