【向島の外周コース】しまなみ海道の好景観サブサイクリングルート
しまなみ海道サイクリングロードのうち、向島の外周コースについてご紹介します。向島は広島県尾道市に属する島で、しまなみ海道の尾道から最初の島にあります。いわゆるメインルートは向島の西側を通っていますが、東側から南側に回り込む外周コースは瀬戸内海の景色を存分に楽しめる好景観ルートながら、まだまだあまり知られておらず、サイクリストも少ないコースです。
こんにちは。しまなみ海道在住のサイクリスト・カワイユキと申します。しまなみ海道は初心者の方でも自分のレベルに合った情報をもとに準備すれば大丈夫!自転車でゆっくり旅する魅力をお伝えします。
初心者ひとり旅でも安全・安心にサイクリングを楽しめるガイドブックを目指して作っているウェブサイトです。私の記事がもしお役に立ちましたらサポートをお願いします。なお、業者様からの掲載依頼はお断りしています。
しまなみの島をサイクリング
豊富なサイクリングコース
しまなみ海道は広島県尾道市と愛媛県今治市のいくつもの島々を渡り、本州と四国を横断する瀬戸内海の道路です。島に架かるほとんどの橋は高速道路だけでなく自転車でも渡れるようになっています。レンタサイクルやコース設定、サイクルオアシスなどが充実し、世界中から自転車で旅する方々が訪れ、さまざまな旅行者が自転車散策を楽しんでいる人気観光エリアです。
尾道駅~今治駅間のしまなみ海道サイクリングの完走コースは最短でも70~80㎞程度の距離。レンタサイクルは途中でも返却できるので、一部の島だけをサイクリングすることもできます。初心者の方で完走を目指すとなると、2日間ほどかけると観光やのんびりとした滞在も楽しめます。メインルートだけでなく、より景色のよいサブルートや町並み散策なども周る余裕ができると思います。
上級者だけでなく初めて自転車で旅行をする、スポーツ自転車は初めてという方など、幅広い層の旅行者がしまなみ海道を訪れています。この理由のひとつにサイクリングコースのバリエーションが豊かなことが挙げられます。それぞれの島には外周コースと呼ばれるサブルートも設定され、ゆめしま海道や安芸灘とびしま海道など、しまなみ海道の周辺には絶景のサイクリングコースも広がっています。
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尾道から最初の島、向島
しまなみ海道では、大島、伯方島、大三島、生口島、因島、向島という6つのメインの島を通ります。それぞれに個性的な島々で魅力がありますが、尾道をスタート地点にする方が多いしまなみ海道では、ひとつめの島、向島は多くの方がサイクリングする島となっています。島の北側は市街地ですが、南側はリゾート地の雰囲気で、好景観な海岸線が続きます。向島は一周すると約20kmの距離です。
しまなみ海道のサイクリング推奨コースは、それぞれの島で、メインルートと外周コースに分かれています。向島のメインルートは島の西側を回り込むようなルートになっており、ほぼ平坦で海岸沿いの風景も美しいコースです。そのため、メインルートを通る旅行者がほとんどなのですが、今回ご紹介するのは、その反対周りの「外周コース」です。
向島の外周コースはほとんどサイクリングする方がおらず、インターネット上にもあまり情報があがっていない区間になっています。ですが、実はこの東回りの向島外周コースは知る人ぞ知る好景観ルート。本当に海に近い道路をサイクリングでき、ビーチや岩場などの島ならではの風景が次々と展開していきます。
- しまなみサイクリングでの向島のルート
- 知られざる向島の外周コースの魅力
- 向島の東回り外周コースの詳細
尾道大橋は通らず渡船で
尾道駅や尾道商店街などがある旧尾道市(本州)と向島の間には尾道水道という海があります。ここには高速道路の新尾道大橋と一般道の尾道大橋がかかっています。尾道大橋は法的に自転車の通行が制限されているわけではないですが、自転車専用道が整備されておらず、路肩などの通行スペースが非常に狭いです。
そのため、多くの旅行者は尾道水道を頻繁に行き来している「渡船」を利用しています。しまなみ海道サイクリングを扱う公式、非公式のウェブサイトやガイドブックなどのメディアでも、渡船を使って尾道~向島間を渡ることが推奨されています。
現在、尾道と向島の間には3つの渡船の航路があり、どれも運賃が安く、また自転車を積載することができます。どの渡船を使ったとしても、しまなみ海道の推奨サイクリングコースを示すブルーラインに出ることができますので、メインルートへも外周コースへも簡単にアクセスすることができます。
それでは渡船を渡った先、向島の外周コースについて詳しくご紹介していきます♪
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向島の外周コース
尾道から時計回りに
実際に、しまなみ海道・向島の外周コースを尾道側からサイクリングしてきましたので、たくさんの写真を使いながらルートの状況をご紹介しようと思います。尾道市街から渡船を使って向島へ渡り、サイクリング推奨ルートであることを示すブルーラインの道路標示を辿りながら、時計回りに因島大橋を目指しました。
向島の南北を結ぶ道は実はいくつもあり、様々なルートで島の南側へと行くことができます。この中で、ブルーライン、つまりオフィシャルな外周コースは上の図のように向東町の歌港付近を回り込み、基本的に海岸線沿いを東から西方向へと進んで因島大橋を目指すような設定になっています。渡船から因島大橋自転車道入口までの外周コースは11~12km程度の距離です。
距離と高低差
しまなみ海道・向島のメインルート(富浜の渡船乗り場~因島大橋自転車道入口)と、外周ルート(兼吉の渡船乗り場~因島大橋自転車道入口)のそれぞれの距離とアップダウンは上の図のようになっています。どちらのルートも難易度は高くなく、初心者の方のレンタサイクルによるサイクリングでも問題なく楽しめると思います。
兼吉の渡船をスタート
先述の通り、尾道から向島に渡るには3つある渡船の航路のどれを使ってもOKです。今回は、最も東側にある尾道渡船(兼吉の渡し)を使って、向島の兼吉地区へと渡りました。住田製パン所やラムネの後藤鉱泉所などが近い渡し場です。ここから国道317号線の東西橋交差点まで移動します。
途切れ途切れのブルーライン
東西橋の交差点は右側へ進むとしまなみ海道のメインルート、外周コースは左方向です。東西橋交差点からからしばらく向島の市街地エリアを進みます。この市街地区間のブルーラインのペイントは途切れ途切れになっていて、一部は矢羽根表示になっています。基本的に直進なのでブルーラインが消えて少し不安になっても進みましょう。
途切れ途切れのブルーラインの表示は「因島大橋」が目標地になっていて、このようにキロ数表示がされています。感覚的には実際の因島大橋の方角と反対方向に行っている感じですが、これは向東町の方を東回りにぐるりと回り込むためです。
歌港周辺エリア
およそ向島の市街地を抜けて、海岸が近づいてくる雰囲気が出てくるところで小さな交差点を右折します。歌公民館の建物がある交差点です。ブルーラインもこの場所で因島大橋へは右側へ進むように誘導しています。間違えて真っすぐ進むと、福山市方面、松永湾の風景を望む海岸線の狭い堤防道路に出ます。
先ほどの歌公民館交差点を右折してすぐのY字路は、左前方面に行くと「歌港フェリー乗り場」への行き止まりの道です。しまなみ海道・向島の外周コースはここを右前方面へと進みます。
歌港からは戸崎港へのフェリー航路があります。戸崎港は沼隈半島から飛び出た岬の先端。向島から広島県福山市方面や汐待ちの港として観光地になっている鞆の浦方面へのアクセスに便利です。
標高が10mくらいの小さな丘を登ります。外周コースは左手にピークがある標高63mの竜王山から続く森の切通したような道を行くようになっています。この丘を越えると古江浜(こえはま)の集落へと出ます。
唐突な巨大キングコング像
古江浜の交差点には、しまなみ海道の知る人ぞ知るゴリラ像があります。思っているよりも大きめでした。ずっとゴリラだと思っていましたが、女性が手に乗っているところを見ると、もしかしたら映画のキングコングの像かもしれません。外周コースはこの交差点を左折していきます。
この向島の古江浜交差点には、地図付きの看板が設置されています。右側からの道は、向東町の向東中学校近くの交差点から歌港を経由せずにショートカットする道です。直進すると明らかに道が狭くなり民家に入っていくような道になっています。道路のペイントも左側へ進むようになっているので、分かりにくさはあまりないように感じました。
案内看板にのっている向島の地図をアップにするとこのような感じです。地図中の西回りの赤い線がいわゆるしまなみ海道サイクリングのメインルートです。緑色は県道で、向島の外周コースは広島県道377号線(向島循環線)がサイクリング推奨のオプションルートとして設定されています。この看板がある地点で兼吉の渡船乗り場から外周コースの3分の1ほどを進んできたような感じです。
古江浜から干汐
古江浜の交差点を左折すると、向島の外周コースを走ってきて初の瀬戸内海の海の風景が出てきます。いよいよ海沿い。向島の好景観区間のスタートです。ここからの因島大橋までの区間は、しまなみ海道サイクリングのルートの中でも屈指の景色が良いコースです。上の写真の島々は加島や百島、横島といった備後灘に浮かぶ備後群島の島々です。
先ほどの集落から次の向島大町の集落までの海岸沿いは、標高24mほどまで登る上り坂になっています。道の右側に山、左側にも木々が茂っていますが、左の木々の間からは瀬戸内海の穏やかな海や岩場、砂浜の風景がちらりちらりと見え隠れしていきます。ブルーラインの表示はこのあたりも途切れ途切れです。
この小さな峠道を下りきると、いきなり小規模な砂浜が連続していきます。道路の海側にはガードレールもなく、そのままビーチになっているような開放的な風景です。しまなみ海道のサイクリングで通る他の島の道でも、このようにビーチのすぐ横を通過するような道路はなかなか無いように思います。
高丸山のふもと、向島大町の周辺はかなり道幅が狭いので、クルマに注意しながらサイクリングを楽しみましょう。このあたりの地形は山がそのまま海に落ち込んでいるようになっていて、断崖を切通して道をとおしているような不思議な景色です。このような崖の景色も他の島ではあまり見ることのない景色だと思います。
デザインが可愛い木造のお家を発見。このあたりは別荘のような建物も多く、リゾート地のような雰囲気と昔ながらの島の情緒が混ざっているような印象です。スピードを落として、のんびりと自転車で散策していると小さな発見ができていいですね。
ここまででしまなみ海道、向島の外周コースもおよそ半分ほどを走ってきました。
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向島大町の小さな港
小さなボートがいくつもガードレールに繋いである向島大町の小さな港で、道路はクランクしています。
クランクの先の砂浜越しには、これから向かう向島立花エリアが見えてきました。奥側の山の上には鉄塔と建物が見えますが、あそこが高見山です。高見山は標高282m。向島でもっとも標高が高い山で、山頂の高見山展望台は、向島屈指の絶景スポットとして有名です。車でも自転車でも山頂の展望台までアクセスすることができますが、サイクリングではかなり急勾配の坂道が待っています。
向島干汐から立花へ
干汐と書いて、「ひしお」と読みます。
小さな岬を越えると大きな砂浜「干汐海水浴場」が左側に広がっています。尾道市立高見小学校前の遠浅のビーチで、以前は海水浴場として整備されていました。現在は、名前こそ海水浴場となっていますが、その機能はなく、むしろ遊泳禁止の古い貼り紙が貼られていました。目の前に見える島々は因島ではなく、加島と百島、田島と横島といった島々です。
干汐海水浴場の元屋内駐車場だった看板などもありました。海水浴場近くには古いですが公衆トイレもあります。海水浴場の端にある交差点で右側から合流している道は、兼吉の渡しから直接南下してくるような道です。この向島を南北に縦断する道は、比較的アップダウンが少なく、ショートカットするルートとしては活用ができます。
干汐を進んだ道路から見た海の風景。ビーチから長い竿で釣りをしている方がいました。海に浮かんでいるのは、無人島である下江府島です。「しもえぶじま」と読みます。すぐ近くには上江府島という小さな無人島もあります。上江府島の方が細長い形をしているので「長えぶ」、下江府島は「丸えぶ」と地元の方々には呼ばれています。
尾道マリンユースセンター
しばらく、低い堤防のため海が良く見える道路を進むと、広島大学の臨海実験所から小さな峠道を越えると「尾道市マリンユースセンター」へとたどり着きます。体育館やマリンスポーツ施設、キャンプ場、遊具などを併設したアウトドア施設です。サイクルオアシスにも登録されている施設なので、トイレをお借りすることも可能です。
マリンユースセンターを越えると、「立花の浜」と呼ばれる向島でも最も広い規模の砂浜が広がる風景が待っていました。次々と美しい景色が連続し道路から海がずっと見えているので、自転車で走っているととても気持ちがいい区間です。しまなみ海道の次の島、因島も海を超えて左側に見えてきました。
いよいよ因島大橋へ
小さな岬を過ぎたところで、ようやく因島大橋が見えてきました。向島と因島を結ぶしまなみ海道の橋です。因島大橋はしまなみ海道の橋の中でも割と早い段階で架けられた橋で、1983年開通。全長1270mの因島大橋は2重の構造になっていて、上側が高速道路、下側が自転車原付バイク道と歩行者道になっています。
妙見鼻の岬を過ぎたところにある海に向かう鳥居は「立花金刀比羅宮」です。このあたりは向島町立花の地区で、向島の南側の中心と言えるような場所で家々が密集した集落が点在しています。
もうひとつ小さな岬を回り込むと、立花海岸というビーチが広がっています。因島大橋への自転車道入口は、立花食堂横、右側の道を登り始めます。ブルーラインの案内や看板もあるので見逃さないようにしてくださいね。この道をそのまま直進すると、しまなみ海道のメインルートで尾道方面へと向島の西側を回り込んでいくようなルートです。向島一周の場合は直進しましょう。
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マップ
向島の外周コース
今回、ご紹介したしまなみ海道・向島の外周コースのルート情報やスポットをGoogleマイマップに落としてみました。尾道からの渡船の兼吉渡し場から因島大橋の自転車道入口までのブルーラインのルートです。
コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどは島の北側に集中しているので、南側には商店が少ないです。
ガイドブックやムック本
しまなみ海道の観光情報も、やはり紙媒体のガイドブックを事前に購入しておくと便利です。綺麗なビジュアルも参考にしながら旅の計画をしたいという方にもおすすめですよ。しまなみ海道や自転車旅行を特集したムック本なども登場しています。
荷物がかさばるのがなぁ…という方であれば、いくつかのガイドブックにはKindleなどの電子書籍版も発売されているので、こうした商品をスマートフォンにダウンロードしておくと、かなり便利です。
因島の西側外周コース
しまなみ海道の尾道から2つ目の島、因島のメインルートは島の内陸部を通る区間も長くてアップダウンもあるので、初心者の方だったり、海や町並みを楽しみたい方には、外周コースもおすすめです。東側の外周コースは距離も難易度も高いので、西側の外周コースがいいですよ。
しまなみ海道マップ
向島を含めて、しまなみ海道の他の島々のサイクリングコースや観光スポットの情報はこちらのGoogleマイマップにまとめています。初めての自転車旅行の方やレンタサイクルでしまなみ海道を走る方を想定して作成しました。これらのマイマップはスマートフォンのGoogleマップアプリで表示すると便利です。
このうち、多くの旅行者の方がサイクリングを楽しんでいるしまなみ海道のメインルート(サイクリング推奨の今治~尾道最短ルート)はこちらのウェブページでご紹介しています。
このウェブページでは、しまなみ海道・向島の外周コースのルートについて詳しくご紹介しました。私のこのウェブサイト「しまなみ自転車ツーリングTips」では主に、初心者でも楽しめるサイクリングの聖地、しまなみ海道の情報をまとめています。素敵なヘルメットを手に入れたら、ぜひしまなみ海道サイクリングにお越しください。素晴らしいサイクリングロードと瀬戸内海の風景が待っていますよ!