【料金改定】しまなみ海道レンタサイクルはどれくらい値上げ?

2024年9月4日

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料金改定の詳しい内容

2023年9月1日からのレンタサイクルの料金改定には、3つのポイントがあります。

料金改定のポイント

①. 保証料金(乗捨て料金)の廃止
②. 車種ごとの貸出料金の変更
③. 電動の全ターミナル返却可

料金そのものが変更されることと、以前まであった追加で保証料金を支払う仕組みが変わり、よりシンプルになりました。

①保証料金(乗捨て料金)廃止

以前は貸出料金とは別に保証料金を支払い、借りたのと同じターミナルで自転車を返却した場合には、保証料金がキャッシュバックされるといったシステムでした。つまり、保証料金は実質的には乗捨て料金でした。例えば、今治駅前レンタサイクルターミナルで自転車を借りてしまなみ海道を片道サイクリングした後、尾道港で返却する場合には、追加で支払っていた1100円は返金されず、乗捨て料金になっていました。

実はこの保証料金のしくみは、1999年のしまなみ海道開通時に各島の自治体などが協力して運営していた「しまなみ海道レンタサイクル」時代からあったシステム。20数年続いて定着していたことを考えると、今回の変更は大きな変更と言えると思います。

【イラスト】しまなみ海道のレンタサイクルの料金改定:しまなみレンタサイクルの保証料金(乗捨て料金システム)廃止

今回は、この保証料金のシステムが廃止されました。つまり、クロスバイクやシティサイクルはしまなみ海道内のどのレンタサイクルターミナルで借りて、どのレンタサイクルターミナルで返却しても、トータルのレンタサイクル料金は変わりません。乗り捨てすることを前提とした料金体系とも言えます。一方で、以前は保証料金の返金があった「来島海峡大橋のみをちょっと走ってみる」「今治市内を散策する」といった体験的な借り方だと、割高になります。

以前の貸出料金や保証料金について、詳しくはこちらのウェブページにまとめています。

②車種ごとの貸出料金の変更

今回の改定では、レンタサイクルの車種ごとの料金も変更されています。まずは、以前(2023年8月31日まで)のしまなみジャパンのレンタサイクル料金はこのような感じになっていました。

2023年8月31日までのレンタサイクル料金

~2023年8月31日貸出料金(1日) 保証料金(1回) 乗捨て
クロスバイク・シティサイクル等20001100
タンデム自転車30001100×
電動アシスト自転車2500 (6時間)1100×
Eバイク70005000制限有り

台数も多く、他のターミナルで乗捨てができる「クロスバイクやシティサイクル」の1日の貸出料金は2000円でした。これに加えて貸出時に保証料金の1100円を支払います。つまり、クロスバイクを1日借りて他のターミナルで乗捨てた場合の合計金額は3100円、2日間借りた場合は5100円でした。

タンデム自転車はサンライズ糸山と瀬戸田サンセットビーチのみ、電動アシスト自転車はサンライズ糸山と大三島・生口島・尾道港のみ、Eバイクはサンライズ糸山・尾道港のみ、といったように配備されたレンタサイクルターミナルが限定的。また乗り捨てができないなどの制限もありました。Eバイクは尾道港、中央、今治駅前のみ返却でき、乗り捨ての場合は保証料金5000円が返金されない仕組みでした。

2023年9月1日からのレンタサイクル料金

一方で2023年9月1日からのしまなみジャパンのレンタサイクル料金は以下の通りです。

2023年9月1日~ 貸出料金(1日) 乗捨て
クロスバイク・シティサイクル等3000
タンデム自転車4000×
電動アシスト自転車4000
Eバイク8000制限有り

基本となるクロスバイク・シティサイクルは、1日3000円で借りることができます。保証料金のシステム廃止により、どこで借りてもどこで返してもこの料金です。例えば、クロスバイクを1日借りて今治~尾道をサイクリングして返却した場合は3000円、2日間借りた場合は6000円です。

タンデム自転車や電動アシスト付き自転車は配備されているターミナルに変更はありません。タンデム自転車は以前と同じく他のターミナルで乗り捨てができません。Eバイクは1日8000円で借りることができ、返却できる3か所のターミナルも以前と変更がありません。タンデム自転車と電動アシスト付き自転車、Eバイクは2日以上連続で借りることができず、当日中に返却する必要があります。

また、この料金改定に合わせて、クレジットカードや交通系ICカード、電子マネーなどの電子決済が導入されました。それまでの現金払いのみからかなり便利になったと思います。同時に書類のペーパーレス化も進められています。

③電動の全ターミナル返却可

電動アシスト付き自転車が、全てのターミナルで返却できるようになりました。配備されている5か所のターミナルで借りた電動アシスト付き自転車は全10ヶ所のターミナルで乗捨てができます。例えば「サンライズ糸山で電動アシスト付き自転車を借りて、1日で尾道港まで行って返却」というパターンが可能になりました。

料金の改定だけでなく、料金のシステムそのものが大きく変わりました!

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貸出パターンごとの値上げ率検証

今回のしまなみ海道のレンタサイクル料金の改定は、一見するとどれくらい値上げなのかよく分からないかもしれません。クロスバイク1台を1日借りた場合だけを比較すると3100円から3000円に値下げされたようにも見えます。今回の改定は、実はレンタサイクルの貸出しパターンによって、その値上げ幅が大きく変わります。

クロスバイク・1日

まずは一般的なクロスバイクやシティサイクルで考えます。1日だけ借りた場合の実質の料金を見てみます。

1日貸出(当日返却)以前2023年9月1日~値上げ率
クロスバイク(同ターミナル返却)2000300050%値上げ
クロスバイク(他ターミナル乗捨)31003000約3%値下げ

1日のみクロスバイクを借りる場合、他のターミナルで乗捨てる場合は先述の通り、実質100円の値下げです。一方で、同じターミナルで返却した場合は、保証料金1100円の返金が廃止されたため、実質1000円の値上げです。

「サンライズ糸山で1~2時間だけ自転車を借りてしまなみ海道サイクリングのプチ体験をする」「生口島でレンタサイクルを借りて1周する」といった数時間~半日程度のサイクリングでは、割高感が強くなりました。1日あるいは2日以上かけてしまなみ海道全線を踏破するといったプランの方が多くなってきているのかもしれません。

改定により、数時間だけ借りるといったライト層の「気軽さ」が減ってしまいました。

クロスバイク・2日間

続いて、クロスバイクを2日間借りる場合です。

2日間貸出(翌日返却)以前2023年9月1日~値上げ率
クロスバイク(同ターミナル返却)4000600050%値上げ
クロスバイク(他ターミナル乗捨)5100600018%値上げ

初心者の方も含め、しまなみ海道の全線をレンタサイクルを借りて踏破サイクリングする場合には、観光する時間も含めると2日以上かけることが一般的になってきています。以前は、保証料金の返金や荷物を起点のコインロッカーなどに置けるメリットから、船なども活用しつつ同じターミナルに戻ってくるようなプランニングをする方も多かったですが、レンタサイクルの料金面でのメリットはなくなりました。

最も一般的な今治~尾道の片道踏破サイクリングを2日間かけて行う場合、5100円から6000円に900円の値上げとなります。

2日間のしまなみ海道踏破サイクリングでは、あまり値上げ感はないかもです!

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クロスバイク・3日以上

続いて、クロスバイクを3日以上借りる場合です。

他ターミナル乗捨て以前2023年9月1日~値上げ率
クロスバイク(2日間)5100600018%値上げ
クロスバイク(3日間)7100900028%値上げ
クロスバイク(4日間)91001200032%値上げ
クロスバイク(5日間)111001500035%値上げ

以前の保証料金は、貸出し1回あたり1100円だったので、今回の改定で長期間借りるパターンはかなり大きな影響を受けます。クロスバイクを3日間借りる場合は、貸出料金の2000円×3日+保証料金の1100円でしたが、今回の改定で3000円×3日になります。長期間で借りれば借りる程、今回の改定での値上げの値上げ幅が大きくなります

クロスバイクの料金改定ポイントまとめ
  • 同じターミナルに返却する場合は50%も値上げ
  • 長期間借りれば借りる程、値上げ率も上がる

のんびり過ごすのがしまなみ海道の魅力のひとつなので、今回の改定の改悪部分だと感じました。

タンデム・電動アシスト

続いて、タンデム自転車や電動アシスト付き自転車を借りる場合です。

1日のみ貸出以前2023年9月1日~値上げ率
タンデム自転車3000400033%値上げ
電動アシスト付き自転車2500400060%値上げ

タンデム自転車や電動アシスト付き自転車は、配備されているターミナルが先述の通り限定的です。タンデム自転車は乗捨てができません。また2日以上の貸出が不可なので、当日中に借りたターミナルに返却する必要がありました。そのため、必ず保証料金が返金されていたのですが、これがシステム上なくなるので、シンプルな値上げです。

電動アシスト付き自転車には貸出時間に6時間の縛りがありましたが、今回の改定で当日中に変更になり、全ターミナルで乗り捨てができるようになりました。タンデム自転車は3000円から4000円へ1000円の値上げ、電動アシスト付き自転車は2500円から4000円への1500円の値上げになります。

Eバイク

サンライズ糸山と尾道港ではスポーツタイプの電動アシスト付き自転車、Eバイクを借りることができます

1日のみ貸出以前2023年9月1日~値上げ率
Eバイク(同ターミナル返却)7000800014%値上げ
Eバイク(他ターミナル返却)12000800033%値下げ

先述のとおり、サンライズ糸山と今治駅前サイクリングターミナル、尾道港のみで返却可能で、2日間以上は借りることはできません。今回の料金改定で、同ターミナルで返却の場合は1000円の値上げですが、他ターミナルで返却の場合は、保証料金5000円のシステム廃止につき、以前より4000円安く借りることができます。

2日以上借りることができないのは、Eバイクならではの事情で、充電器の貸出などに課題があるためと思われます。とは言っても、2日以上かけてEバイクでしまなみ海道を踏破したいというニーズは確実にあると思うので、大三島や生口島の宿泊施設などに充電ステーションを設けるなど、今後の対応を期待します。

子ども用自転車

子ども用自転車(小学生以下)のレンタル料金も変更がありました。

貸出(他ターミナル返却)以前2023年9月1日~値上げ率
クロスバイク・シティサイクル(子ども1日)10001000変わらず
クロスバイク・シティサイクル(子ども2日)1500200033%値上げ

以前は、子ども用自転車の貸出料金は500円で、保証料金が500円でした。他のターミナルで返却する場合、1日のレンタサイクル料金は変わりません。同じターミナルに返却する場合、500円でしたが1000円になっています。2日間借りて他のターミナルで返却する場合、1500円から2000円に実質500円の値上げです。

その他車種の料金改定ポイントまとめ
  • 電動は6時間制限が廃止され1日借りられるも60%の値上げ
  • Eバイクは1日の片道サイクリングで利用しやすくなった

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レンタサイクル料金の変遷

【イラスト】しまなみ海道レンタサイクルの料金値上げの変遷(グラフ)

しまなみ海道のレンタサイクルは長い間、公営サービスとして提供されていたこともあり、かなり低価格での貸し出しが行われていました。しまなみ海道で気軽に自転車を借りることができることは、サイクリング初心者の旅行者やファミリー層へのしまなみ海道サイクリングの普及に大きく貢献していました。一方で、旅行者が急増して以降も変わらずレンタサイクル事業は赤字が続いていて、公的な資金の投入なしでは維持できないという問題も抱えていました。旅行者の急増に伴い、自転車も多くの台数を確保しなくてはならず、メンテナンスが追い付かずに整備不良が問題視されるということも度々起きてきました。事実上の民営化(第3セクター化)したことで、採算が取れるような運用にしなくてはならないこともあり、ここ数年間で料金改定が繰り返されています。いかに、開通時からのクロスバイク1台の料金の変遷をまとめてみました。

料金改定クロスバイク1台の貸出料金2日間借りた場合(乗捨て)
1999年開通時(しまなみ海道’99イベント期間中)4時間以内400円 1日700円1900円
しまなみ海道’99イベント終了後~2015年10月まで1日500円 保証料金1000円2000円
2015年10月~1日1000円 保証料金1000円3000円
2019年10月~1日1100円 保証料金1100円3300円
2021年7月~1日2000円 保証料金1100円5100円
2023年9月~1日3000円6000円

しまなみ海道レンタサイクルの変遷

現在のしまなみレンタサイクルの仕組みは、しまなみ海道の開通に合わせて開催された「しまなみ海道’99」という大規模な完成記念イベントの中で設置されたレンタサイクルのターミナルが基になっています。現在は、しまなみ海道沿線に10か所のターミナルがあり、愛媛県側も広島県側も(一社)しまなみジャパンにより第3セクターとして包括的に管理運営されています。以前は最大15か所のターミナルが設置されていたこともあるんです。また、今治側のレンタサイクルターミナルは最近までウェブサイトでの予約ができず、電話予約のみという海外からの旅行者の方には特にハードルが高い前時代的なサービスとなっていました。

しまなみ海道で一番有名なガイドブック

【書影】しまなみ島走BOOK(宇都宮一成+シクロツーリズムしまなみ著)

しまなみ海道サイクリングで最も有名なガイドブックといえばこの『しまなみ島走BOOK』。何度も改訂版が出されていて、しまなみ海道を旅する多くの旅行者がプランニングの参考にしています。最新版をチェックしてぜひ事前にお取り寄せを!

まとめ

今回のしまなみ海道レンタサイクルの料金改定で、保証料金のシステムがなくなったことで、料金体系がよりシンプルに分かりやすくなりました。保証料金の返金を目指して、無理やり元のターミナルまで戻る必要もなくなりました。一方で、1時間や半日といった短時間のレンタルや3日以上の長期の貸出には、以前の料金から比べると割高感を感じます。旅行スタイルや旅程の多様性という面では、逆のインセンティブを感じざるを得ない改定と言えるかもしれません。より2日間の縦断サイクリングが強化された形です。

しまなみジャパンのウェブサイトでの発表で「さらに自転車の整備点検に注力し、安全の確保・サービスの向上に努めてまいります。」とありました。公共のレンタサイクルは長年、自転車の整備品質に問題があると指摘されています。このあたり、運営側も状況を把握しているものの、コストなどのマネジメントできていないという状況なのだと想像します。値上げに伴うレンタサイクルの品質の向上に期待したいと思います。

借り方によっては民間レンタも

公共のレンタサイクルの実質的な値上げにより、民間のレンタサイクルとの価格差があまりなくなってきているとも言えます。呼応今日のレンタサイクルは返却ができるスポットが多いというメリットは非常に大きいですが、しまなみ海道サイクリングの旅程によっては、ジャイアントストアやローカルな自転車ショップなども選択肢に入ってくると思います。しまなみ海道の公共と民間のレンタサイクルの情報はこちらのウェブページにまとめていますので、ぜひ参考になさってください。

レンタサイクルの情報まとめ

しまなみ海道のレンタサイクルは公共から民間のサービスまで、幅広いサービスが展開されていて、それぞれに特徴が違います。

四国・今治でレンタサイクル

四国側、愛媛県今治市周辺のレンタサイクル情報です。しまなみレンタサイクルやジャイアントストア今治など、借りられる自転車や場所が異なります。クロスバイクやシティサイクル、ロードバイクなども選べます。

本州・尾道でレンタサイクル

しまなみレンタサイクルは尾道港にあり、クロスバイクやシティサイクルなどを借りることができます。ジャイアントストア尾道やザレッドバイシクルズ尾道ではロードバイクのレンタルも可能。また、ローロサイクルワークス尾道や尾道ベースではミニベロを借りられます。ベターバイシクルズではおしゃれな街乗り自転車がレンタルできます。

ロードバイクを借りる方法

サイクリングの中~上級者の方であれば、クロスバイクではなくロードバイクを借りたいという方もいらっしゃるかと思います。しまなみ海道のいくつかのショップではロードバイクのレンタルサービスを展開しています。

電動自転車をレンタル

意外とアップダウンと距離があるしまなみ海道では、最近、電動アシスト付き自転車の貸出サービスも続々と登場しています。サービスによって乗り捨てができなかったり、レンタル料金や借りられる自転車の品質がだいぶ違います。長距離サイクリングが初めての方や体力に自信のない方にもおすすめです。

ママチャリをおすすめしない理由

それぞれの橋では数十メートルの高さまで自転車で登る必要があり、いくつかの島には標高数十メートルの峠があります。しまなみ海道の全線を踏破するようなサイクリングプランの場合は、ママチャリではなく、クロスバイクを借りることをおすすめします。

しまなみ海道のレンタサイクル情報まとめ

しまなみ海道のレンタサイクルの借り方や返し方、片道サイクリングでの乗捨ての方法や借りることができる車種、料金や予約の詳細など、レンタサイクルサービスごとの特徴を比較して広く解説します。民間のレンタサイクルサービスも増えたことで、初心者の女性ひとり旅から上級者のロードバイク乗りまで幅広い旅行者に向けたレンタサイクルが充実しています。


このページではしまなみ海道サイクリングのレンタサイクルで2023年9月に行われた料金改定についてその詳細をご紹介しました。初心者でも安心してサイクリングを楽しめるのがしまなみ海道最大の特徴です。しまなみ海道サイクリングの詳しい情報は、以下のページにまとめておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

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Posted by カワイユキ