【通行止め】しまなみ海道の自転車歩行者道はどんな時に通れない?
しまなみ海道はこれまで、どんな時に通行止めになったのでしょうか。しまなみ海道には高速道路のほか、一般道も含む自転車歩行者専用道や原付バイク専用道もあり、10ほどの橋があることもあり、少し複雑です。どんな条件で通行止めになるのか、あるいはいままでどういったパターンの時に通行止めの措置が取られているのかを調べてみました。
こんにちは。しまなみ海道在住のサイクリスト・カワイユキと申します。しまなみ海道は初心者の方でも自分のレベルに合った情報をもとに準備すれば大丈夫!自転車でゆっくり旅する魅力をお伝えします。
初心者ひとり旅でも安全・安心にサイクリングを楽しめるガイドブックを目指して作っているウェブサイトです。私の記事がもしお役に立ちましたらサポートをお願いします。なお、業者様からの掲載依頼はお断りしています。
しまなみ海道の特徴
島々を結ぶ新しいルート
広島県尾道市と四国の愛媛県今治市を結ぶルートである「しまなみ海道」は、芸予諸島と呼ばれる島々を渡りながら瀬戸内海を渡る道路です。本州と四国をつないでいる橋のルートは、このしまなみ海道のほかにも、岡山~香川の「瀬戸大橋」、兵庫~徳島を淡路島経由で結ぶ「明石海峡大橋・大鳴門橋」の計3つのルートがあります。これらの3ルートの中で、しまなみ海道は最後に完成した「本州~四国の3つめのルート」として知られています。
自転車や歩きで渡れる
しまなみ海道はほかの2つのルートと違って、小さな島々を渡れる観光道路としての側面もあり、また、島々に住んでいる方の生活道としての側面から、自転車や原付バイク、歩いて渡ることができるという特徴があります。島々を結ぶそれぞれの橋には、高速道路のほかに自転車歩行者専用道や原付バイク専用道が設置されています。例えば瀬戸大橋は高速道路と鉄道が通っていますが、自転車などでは渡ることができません。
サイクリングの聖地
この自転車でも渡ることができるというしまなみ海道の特徴が、観光や地域の活性化に活用されています。レンタサイクルが充実していたり、初心者でも挑戦しやすいサイクリングコースが整備されていたり、今までそれほど日本ではメジャーでなかった「自転車旅行」を存分に楽しめるスポットとしても有名になっています。サイクリングの聖地とも呼ばれ、国内外からサイクリングを目的にした旅行者が訪れています。
このようにしまなみ海道は、他のルートより少し複雑です。せっかく遠くまで自転車旅行を楽しみに来たのに「自転車道がまさかの通行止め」では残念すぎるので、あらかじめ「こんな時には通行止めになる可能性があるよ」というのを計画時に知っておくといいと思います。安全なサイクリングのためにも知っておくといい情報も一緒にご紹介したいと思います。
- 自転車道は24時間通行できる?
- 天気が悪い時は通行止めになる?
- 今まで災害での通行止めは?
まずは、しまなみ海道の夜間の通行止めについてです。
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通行できる時間帯
24時間通行可能
しまなみ海道の来島海峡大橋、伯方大島大橋、多々羅大橋、生口橋、因島大橋のそれぞれの橋についている自転車歩行者専用道(サイクリングロード)と原付バイク専用道は高速道路と同じく、夜間の閉鎖は無く、基本的に24時間通行することができます。原付バイクの通行料金も賽銭箱のようなボックスに支払うシステムなので、基本的に無人です。
JR尾道駅~JR今治駅間でしまなみ海道の全線を完走するようなサイクリングの場合、唯一、通行に関して時間的なボトルネックとなるのは「尾道~向島」間の渡船だと思います。尾道と向島を結ぶ渡船には3つの航路がありますが、どれも始発は6時頃、最終便が22時頃です。早朝から夜まで運航されているため、ほとんどの場合、この時間が問題になることはないとは思います。
なお、この区間を結ぶ橋である尾道大橋は路肩が非常に狭いため、自転車の走行が推奨されていません。
夜間の走行は危険
このように、しまなみ海道の自転車歩行者道は夜間にクローズするということが通常は無いので、いつでもサイクリングすることはできます。とは言っても、夜間、つまり暗くなってからの自転車での走行は個人的に全くおすすめしません。言うまでもなく、昼間の走行に比べて夜の自転車走行では事故や転倒のリスクがとても高くなります。
また、しまなみ海道特有の問題としては、街灯がとても少ないということも挙げられます。特に、それぞれの橋へと登るサイクリングロードは、森の中を進みますが街灯がほとんどない区間もあり、かなり暗く視野が確保しづらいです。夜はイノシシなどの野生動物も活発に活動していることもあるので、こちらの怖さもあります。暗い中でのサイクリングは可能な限り避けることをおすすめします。
次に、しまなみ海道の悪天候時の通行止めについてです。
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悪天候での通行止め
通行止めになりにくい
高速道路としてのしまなみ海道は、瀬戸大橋や明石海峡大橋ルートに比べて一般的に「悪天候に強い」と言われています。悪天候時に特に橋の部分で重要となるのが「風」です。地形的に、比較的オープンな瀬戸大橋や明石海峡大橋に比べて、島が入り組んでいるということもあると思います。また、ルートの大部分が島内の陸路であること、来島海峡大橋などは最後にできた橋でもあるので、それまでの瀬戸大橋架橋からの技術的な進歩もあるのかなと思います。
大雨などの悪天候時、瀬戸大橋が最初に通行止めとなり、明石海峡大橋ルートが通行止めになっていても、しまなみ海道は速度制限はあるものの通行可能ということが多い印象です。つまり、しまなみ海道が通行止めになった段階では、「四国から出る術がない」という状況であるといっても過言ではありません。しまなみ海道はこうした際の迂回路としての役割もあります。
自転車道の通行止め
しまなみ海道のサイクリングロード(自転車歩行者道・原付バイク専用道)は悪天候などで通行止めになる場合、それぞれの橋ごとに規制がかかります。来島海峡大橋や伯方大島大橋、大三島橋、多々羅大橋、生口橋、因島大橋の両側の自転車道入口には、通行止め用の遮断器やゲートが設置されています。通行止めの規制が架かっているときには、このゲートが閉まったり、遮断器が降りたりして、進入することができなくなります。
2021年8月9日の事例
実際、2021年の台風9号が上陸後に温帯低気圧になって日本海側へと抜けていった8月9日の通行止め状況はこのような感じでした。高速道路の規制には「二輪車のみ規制」の場合と「全車規制」の2つの段階があります。全車規制はウェブページによっては「4輪規制」と書かれていることがあります。
2021年8月9日 | しまなみ海道 | 瀬戸大橋 | 明石海峡大橋 |
---|---|---|---|
高速道路(4輪車) | 通行止めなし | 8時間程度通行止め | 13時間程度通行止め |
高速道路(2輪車) | 通行止めなし | 11時間程度通行止め | 16時間程度通行止め |
自転車歩行者道 | 4時間程度通行止め | – | – |
2021年8月9日(月)は、このように瀬戸大橋や明石海峡大橋で長時間の全車通行止めがあった日ですが、しまなみ海道では速度規制のみで通行止めになることはありませんでした。しまなみ海道の来島海峡大橋、大三島橋、多々羅大橋の3橋では、自転車歩行者専用道と原付バイク道の通行止めが4時間程度ありました。
しまなみ海道は比較的、通行止めになりにくいルートと言えそうです。
通行止めの風の条件
もちろん台風の進路などの影響もあるとは思いますが、どれも通行止めの理由は「強風」です。本四高速のウェブサイトによると「10分間の平均風速が25m/sを超える強風が吹くことが予想される場合」は早めに全車通行止めにすることにしているそうです。15m/sを超える場合は、2輪車通行止めになります。
一方で自転車歩行者道に関しては、明確に○m/sという通行止めの条件となる数値は公開されていないようです。2輪車の高速道路とほぼ同等の規制条件だと思われますが、自転車歩行者道(原付バイク道路)のみが規制されることがあるので、風速での制限だとすれば2輪車の平均風速15m/sという数値よりも厳しい値を設定しているように思われます。
明確な基準が定められていると分かりやすいのですが…。
自転車道のみ通行止め
2023年11月18日の事例
しまなみ海道ではレアケースだと思うのですが、高速道路本線の通行止めなどがないにも関わらず、自転車歩行者道と原付バイク専用道のみが通行止めということが2023年11月18日(土)にありました。公式の通行止め原因は、やはり「強風」。この日は、冬型の気圧配置となり南北に延びた等圧線が密集し、午前中に今治市内でも10m/sを超える西風が吹きました。
2023年11月18日 | しまなみ海道 | 瀬戸大橋 | 明石海峡大橋 |
---|---|---|---|
高速道路(4輪車) | 通行止めなし | 通行止めなし | 通行止めなし |
高速道路(2輪車) | 通行止めなし | 全日通行止め | 全日通行止め |
自転車歩行者道 | 5時間程度通行止め | – | – |
この日、瀬戸大橋と明石海峡大橋ルートには、全日2輪車が通行止めが実施されましたが、しまなみ海道の高速道路(西瀬戸自動車道)には2輪車、全車含めて通行止めの規制がかかることはありませんでした。しまなみ海道の橋の中でも、来島海峡大橋の自転車歩行者専用道と原付バイク道のみに5時間程度の通行止め規制がされました。船の航路もほぼ全便欠航のため、バス輪行以外に今治陸地部と大島を行き来する方法がなくなった形です。
当日の風速と天気
2023年11月18日(土)当日は、来島海峡大橋の自転車歩行者専用道では8時40分~13時25分までの間、通行止めになりました。その前後の平均風速や最大瞬間風速を気象庁の過去データよりピックアップしてみました。地点は今治のアメダスで、風向きは1日を通して概ね西の風でした。期間中の降水量は0mmでくもりでした。
2023年11月18日(今治) | 平均風速(m/s) | 最大瞬間風速(m/s) |
---|---|---|
7時 | 3.7 | 13.6 |
8時 | 8.2 | 20.5 |
9時 | 4.8 | 18.7 |
10時 | 5.7 | 16.3 |
11時 | 9.5 | 18.8 |
12時 | 8.3 | 18.4 |
13時 | 6.9 | 14.9 |
14時 | 5.4 | 12.7 |
15時 | 7.8 | 13.9 |
16時 | 4.6 | 10.7 |
17時 | 5.2 | 10.8 |
気象データから見ると、来島海峡大橋の自転車歩行者専用道は、最大瞬間風速が15m/sを超える場合に通行止めになるというのがひとつの目安になりそうです。ちなみに、気象庁では平均風速15~20m/sを「強い風」と表現し、転倒する歩行者が出る風速とされています。
曇り、ハイシーズン、土曜日
こうした状況は、私が今まで知っている限りでは記憶にないほど、珍しい通行止めパターンだったように感じました。この背景には、強めの風が予想されるものの、雨は降らず「曇り予報」であったこと、ハイシーズンの「土曜日」だったことが影響していると思います。実際、この日はほとんど雨が降らず、天気予報のマークだけ見ている場合、自転車に問題なく乗れそうといった感じでした。しかも、秋の行楽シーズンの週末とあって現地には多くの自転車旅行者が来ていました。
しまなみ海道の最も長い橋である来島海峡大橋で、横風は本当に危険です。自転車歩行者専用道は狭く、初心者のサイクリストも多いので、安全を考慮した賢明な判断がなされたものと思います。もし、通行止めになっていなくても自転車で出かけないという判断が必要だったでしょう。しまなみ海道サイクリングを計画するときには、天気予報だけでなく風向きや風速の予報もチェックしてみてください。
2023年12月16日の事例
これまで、稀であった「自転車歩行者道と原付バイク道のみ通行止め」ですが、2023年11月18日の事例のあと、同じような状況でやはり規制が入りました。規制があったのは2023年12月16日(土)の来島海峡大橋で、13:15〜22:00の間です。繁忙期ではないので、自転車旅行者は少なかったと思われますが、同じく土曜日で、雨は降らず(くもり)、風速10m/s近い強い西風が吹いたという日です。
2023年12月16日(今治) | 平均風速(m/s) | 最大瞬間風速(m/s) |
---|---|---|
11時 | 4.9 | 10.6 |
12時 | 3.9 | 15.8 |
13時 | 6.4 | 20.4 |
14時 | 6.9 | 17.2 |
15時 | 5.8 | 19.0 |
16時 | 8.6 | 16.6 |
17時 | 7.2 | 16.2 |
18時 | 4.8 | 15.1 |
19時 | 8.1 | 19.2 |
20時 | 8.1 | 17.4 |
21時 | 8.1 | 16.1 |
22時 | 6.4 | 16.3 |
23時 | 9.2 | 18.2 |
24時 | 8.9 | 16.1 |
やはり、この日も11月18日(土)と同様に、最大瞬間風速が15m/sを超えるような時間帯に、来島海峡大橋の自転車歩行者道が通行止めになっていることが分かります。
特に来島海峡大橋閉鎖に注意
このように、しまなみ海道のいくつもの橋の中でも、最近は特に来島海峡大橋の自転車歩行者道のみが通行止めになるということが多いです。逆に言うと、来島海峡大橋以外の橋が通行止めになることは稀です。全長4kmもの長い橋であることと、自転車歩行者道の幅が広くないので、横風に煽られて接触などがとても危険です。自転車旅行者の増加に伴って、通行止めになる基準?が変わったのか、通行止めになる頻度が上がりつつある印象です。
ハイシーズンの強風の日は、特別に「安全が考慮」される可能性がありそうです。
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西日本豪雨の通行止め
2018年7月7日の事例
6月末からの梅雨前線や台風の影響で断続的な大雨に、追い打ちをかけるように7月6日~7日にかけて大量の雨が降ったことで、西日本を中心に各地で河川の氾濫や浸水害、土砂災害が起きた「西日本豪雨」。しまなみ海道の島々でも各所で小~中規模の土砂崩れが発生し、被害をもたらしました。
しまなみ海道の橋では、大三島橋と伯方大島大橋の橋へと登るサイクリングロードに土砂が流れ込む事象が発生し、7月11日までの間、自転車歩行者専用道と原付バイク道の通行止めの規制がありました。サンライズ糸山への県道161号でも土砂流入がありました。各地で土砂を取り除く復旧作業が急ピッチで進められ、数日程度で通行可能となったのは本当にすごいことです。
大島や伯方島の外周コースでは道路の崩落や大量の土砂が流れ込むなどの被害があり、場所によっては数か月間通行止めが続きました。サイクリングのメインルート上で通行止めがある場合は迂回ルートが案内され、橋が通行止めの間は、船に乗って渡ることが案内されていました。
災害による通行止めの場合は、程度により復旧が長引く可能性があります。
通行止めの情報
しまなみ海道の高速道路を管理している「本四高速」のウェブサイトでは、自動車や2輪車の通行止めや速度制限などの規制の情報がとても分かりやすく表示されています。しかし、自転車歩行者専用道や原付バイク専用道は特殊なこともあって、規制の詳しい情報を探すのが少し大変です。「全車通行止め」になっている時には、自転車歩行者専用道や原付バイク専用道も通行止めになっていると考えて良さそうです。
先述の災害などにより、一部の自転車歩行者専用道のみが通行止めになっているようなときは、国土交通省の「道路情報提供システム」で通行止めの有無を確認することができます。また、レンタサイクルを管理しているしまなみジャパンのウェブページでも、通行止めに関する情報がアップされていることがあります。
まとめ
- しまなみ海道は24時間通行可能。
- 強風の日は一時的に通行止めの可能性あり。
- 西日本豪雨の時は1週間程度通行止めだった。
このページではしまなみ海道の自転車歩行者道の通行止めについてご紹介しました。初心者でも安心してサイクリングを楽しめるのがしまなみ海道最大の特徴です。しまなみ海道サイクリングの詳しい情報は、以下のページにまとめておりますので、ぜひ参考にしてみてください。