【今治駅からのサイクリングロード】しまなみ海道への今治市街地ルートの自転車通行帯が新設
2024年11月16日
しまなみ海道サイクリングのスタート地点やゴール地点としてよく利用されるのが愛媛県今治市の市街地にあるJR今治駅です。今治駅から来島海峡大橋までの6kmの市街地区間は、交通量も多く、特にJR予讃線と平行している区間は自転車で走りにくいという課題がありました。現在、今治駅前から近見町の区間で自転車通行空間を整備する工事が進められサイクリング環境の改善が期待されます。
こんにちは。しまなみ海道在住のサイクリスト・カワイユキと申します。しまなみ海道は初心者の方でも自分のレベルに合った情報をもとに準備すれば大丈夫!自転車でゆっくり旅する魅力をお伝えします。
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しまなみ海道の起終点
愛媛県側のスタート地点
自転車好きだったら一度は走ってみたいと言われるしまなみ海道は、来島海峡大橋などの大きな橋や瀬戸内海の島々にサイクリングロードが整備されていることで有名です。四国と本州を結ぶルートのひとつで、本州側は広島県の尾道市が、四国側は愛媛県の今治市が起終点となっています。今回、この記事でご紹介するのは今治市側のサイクリングコースの情報です。
しまなみ海道サイクリングで一般的にスタート地点やゴール地点に設定されることが多いのが、JR予讃線の今治駅だと思います。今治駅は岡山や松山からの特急列車も停まるJR四国の主要駅のひとつで、市内路線バスや広島県方面の高速バスの「今治駅前バスターミナル」も併設しています。駅前には、しまなみ海道サイクリングで利用が多いレンタサイクルターミナル「今治駅前サイクリングターミナル」もあり、ここで自転車を借りることができます。
しまなみ海道の課題のひとつ
世界7大サイクリングコースや国交省のナショナルサイクルルートにも選ばれているしまなみ海道では、世界基準のサイクリングロードとして様々な整備が進められています。橋とその付近に整備された自転車歩行者専用道やブルーラインの目印が引かれた一般道を通るルート設計で、道路の分岐点には多言語での看板や地図も設置してあり、初めて訪れる方でもサイクリングしやすい環境になっています。
しかしながら、走りやすさに関してはまだまだ改善の余地がある区間もあります。今治駅は今治市中心市街地にあるため、実は来島海峡大橋から約6km離れた立地です。今治駅から来島海峡大橋までの区間は、しまなみ海道開通以前からある市街地の一般道路を走行するようになっています。島エリアと比べると交通量も多く、サイクリングルートとしては少しストレスが溜まりやすい道です。
島が自転車で走りやすい分、この区間の走りにくさは「惜しい」という感じがします。
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市街地通行の課題
北宝来近見線
今治駅から来島海峡大橋までの区間で、JR予讃線と並走する区間の「北宝来近見線」という道は、時間帯によっては特に走りにくいというネガティブな評判です。具体的には今治駅前からローソン今治近見町店のある近見交差点までの区間で、車道は片側一車線で通勤時間帯は混雑します。今治スタートの時刻は朝の通勤時間帯に、今治ゴールの時刻は夕方の混雑時と被ることも多く、自転車の走行に危険を感じることもありました。
北宝来近見線には、車道の両サイドに街路樹が植えられていて、これは景観という視点からは悪くはないです。一方で自転車の走行としては路肩が狭く段差もあるため、車道に引かれたブルーラインに沿って走るのにスペース的な問題がありました。道路の東側には「自転車通行可の歩道」があり、こちらを対面通行することはできます。
しかし、自転車通行可の歩道の自転車走行ルール(自転車は車道に近い側を左側対面通行)は一般に認知度も低く、車道走行が原則となっていることから例外的な走行方法となっています。物理的に歩道には交差点ごとに段差も多く、走りにくいという課題も。また近隣の小中学校、高校の通学路にもなっているため、歩行者と混在による危険もあります。
レンタサイクルで今治駅をスタートすると、まだ慣れない自転車でいきなり様々な危険を配慮しなくてはいけない北宝来近見線の道路を通行することになります。海沿いのルートなど別ルートも無くはないのですが、最短で初めてでも分かりやすいルートとしてはこの北宝来近見線を通らざるを得ないという状況です。
矢羽根による改良
こうした課題は地元サイクリストだけでなく行政側も認識しており、2020年には今治市の施策「今治市自転車ネットワーク計画」の一環として、北宝来近見線の車道にも矢羽根の路面標示が整備されました。正確には「矢羽根型路面標示」と呼ばれるペイントで、自転車の通行すべき位置と向き(左側通行)を明確に表し、自転車の安全な通行を目指すために全国の都市部を中心に設置が進められているものです。
国交省の自転車通行空間整備のガイドライン*によると、自転車専用通行帯を確保することが難しい場合に、この矢羽根の車道混在型で暫定的に整備する案が提言されています。逆に言うと、本来は可能な限り自転車専用の通行帯の整備を目指しましょうということで、オランダやデンマーク、ドイツなどで見られるような道路の形態を整備し、自動車や自転車、歩行者などが安全に共存できるようになることが期待されています。
*安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン(2016)
暫定的な矢羽根の整備から、自転車通行空間を整備することが国主導で進められています。
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自転車通行空間の工事
新設される通行帯
走りにくいと評判だった今治駅~来島海峡大橋の市街地区間の一部に「自転車の通行空間」を新設する工事が進められていて、サイクリング環境の改善が期待されています。これまで少し退屈で、自転車で走行しにくかった区間が、自動車や歩行者と共存して快適な道になるのでしょうか。
2023年5月頃から区間を細かく区切って、今治駅~近見町の道路に自転車通行空間を新設する工事「北宝来近見線自転車通行空間整備工事」が始まりました。電柱を動かす工事から始まりました。今回、この工事が行われている北宝来近見線も、先述の国交省のガイドラインに沿って自転車通行空間を整備しようとしているようです。
工事を観察してみると、この車道の東側の歩道との間に自転車通行空間を作っているようです。車道と歩道の間は、断続的に花壇のように区画されていて、高木と低木が植えられ、電柱もありました。この街路樹群と電柱のあった空間を自転車専用通行帯にするため、木々は別の場所に移植され、電柱は歩道の外側に付け替えています。
ほぼ完成に近い自転車通行帯の工事状況の箇所がありました。コンクリートの花壇状の囲いは撤去され、自転車通行帯と歩道の間にはコンクリートの仕切りで断続的に区切られて少し段差があります。一方、車道と自転車通行帯の間には段差はなく、白点線で区切られるような構造です。
現時点で、この自転車走行空間が「路肩」としてここに矢羽根が書かれるのか、帯状に路面標示されて「自転車専用道(通行帯)」になるのかは分かりませんでした。一方向通行なのか、双方向通行なのかも現時点では不明です。現在、工事が進められているのは車道の東側のみですが、勝手なサイクリスト目線だと、今後、車道の両側にこの通行帯ができることを期待します。
いずれにしても、現在よりも今治駅から来島海峡大橋までの区間の自転車走行がより快適になりそうです。自転車通行スペースの完成を楽しみに待ちたいと思います。
今治駅から来島海峡大橋まで
メインルートと別ルート
しまなみ海道のスタート&ゴール地点である今治駅から来島海峡大橋の間は今治市街地を通ります。路面標示のブルーラインが引かれてサイクリングで推奨されているルートは、今回のページでご紹介した北宝来近見線を通るルートです。しまなみ海道リピーターの方や普通とはちょっと違うコースを楽しみたいという方におすすめのルートをご紹介します。
ブルーライン以外にも、今治駅から市役所方面へ出て国道317号線を進むルートもあります。瀬戸内海らしい漁港や海の風景を楽しみたいなら、海沿いに進むサブルートもいいと思います。海沿いルートは道幅が狭い箇所もあり、路面状況がよくない部分もあるので自転車の走行では注意が必要ですが、来島海峡大橋も見えて景色はいいですよ。
来島海峡大橋の入口
今治市街からひとつめの島、大島へと渡る「来島海峡大橋」には、高速道路のほかに、自転車歩行者専用道、原付バイク専用道があるため、どの乗り物かによって入り口が変わります。どこから乗ればいいのか、こちらのウェブページで詳しくご紹介しています。
しまなみ海道のメインルート
しまなみ海道のサイクリング推奨コースには「メインルート」と「外周ルート」などバリエーションがあり、サイクリストの好みや日程、体力などに応じて自分でルートを選ぶことができます。しまなみ海道のメインルートについては、こちらのウェブページで詳しくご紹介しています。
しまなみ海道のガイドブック一覧
しまなみ海道サイクリングに特化したガイドブックがさまざまな出版社から多数出ています。自分の旅のスタイルに合ったガイドブックや地図を取り寄せて情報収集しましょう。旅のイメージを膨らませるのも旅の楽しみのひとつです。私がおすすめするガイドブックもご紹介しています。
このページでは今治駅から来島海峡大橋までの自転車アクセス道路の改良工事についてご紹介しました。初心者でも安心してサイクリングを楽しめるのがしまなみ海道最大の特徴です。しまなみ海道サイクリングの詳しい情報は、以下のページにまとめておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
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